阪神マット・マートン外野手(32)が日刊スポーツ新聞社制定「エネルギッシュ・タイガース」(協賛=ECC)の9月度MVPに選出された。激しい優勝争いの中で、自身初となる首位打者のタイトルへ向けて着々と歩みを進めた。10月11日からのクライマックスシリーズにおいても、この男の打棒から目が離せない。

 「9月男」の異名は健在だった。チームが優勝戦線にしがみつき、苦しんだ1カ月。マートンは打ち続けた。日本での過去4年も9月の月間打率はすべて3割を超えていた。「9月はとても大事だよ。いい位置で戦いたい」。そう意気込んで臨み、今年もまた、しっかりと結果を残した。

 7日中日戦。マートンはチームで唯一のマルチ安打を放ち、通算安打数を843とした。セ・リーグ外国人ではパチョレック(阪神など)を抜いて9位に浮上。そんな記録も通過点。日々安打を重ねた。チームは5日から11日まで続いた中日、巨人の6試合で全敗。これがV逸を加速させた。10日巨人戦では和田監督により、2年ぶりに1番で起用された。環境の変化にも左右されず、6連敗中の全ての試合で安打を放った。数字からも奮闘ぶりが伝わる。

 そんなマートンの思いが勝利に直結したのは14日広島戦だった。3点リードの8回2死一塁。広島永川勝の内角高め145キロをきれいに捉えた。左中間に上がった打球はそのままスタンドイン。ダメ押しの13号2ランを放ち「今日は大きな勝利。まだ終わったわけじゃない。1つでも上の順位を目指して頑張らないと」と熱い気持ちを吐露した。続く15日ヤクルト戦でも1点を追う5回に、同点の14号ソロで連勝に導いた。

 今春2月の沖縄・宜野座キャンプでは「バイガエシだ!

 ジャイアンツ!

 巨人が優勝したから今年は自分たちの番。他のチームにも勝って優勝したい」と力を込めた。5年目も届かなかったリーグ制覇。自身の成績が勝敗に結びつかず、もどかしい思いもあるだろう。それでもまだチャンスは残っている。9月も不調知らずのマートンは、間違いなくポストシーズンのキーマンだ。