<2014SUZUKI日米野球:日本代表2-0MLB>◇第1戦◇12日◇京セラドーム大阪

 「マエダ」をメジャーリーガーたちに印象づけた。侍ジャパン前田健太投手(26=広島)が5回2安打無失点で白星を挙げた。将来的なメジャー移籍を希望しているが、ポスティングシステムを利用した今オフの移籍は見送り。球数制限のある中、5回を71球で投げきり、WBC経験者の貫禄をみせた。

 衝撃の球筋だ。5回1死。前田の内角151キロが大きく沈みながら、右打者エスコバルの足元にシュートした。空振り三振。これがツーシームなのだから驚きだ。1回2死一、三塁でもキューバ出身の怪物プイグを空振り三振に斬った。勝負球のチェンジアップは驚くほど大きく変化した。

 前田

 日本のボールより動くので、いつもは投げられないボールを投げられた。幅が広がりました。

 日米野球第1戦の先発を任され、5回2安打無失点。滑りやすいWBC球との好相性があらためて際立った。「(メジャー打線は)すごく怖かった。長打もあるので丁寧にいった」。そんな言葉がウソに聞こえるほど余裕の投球に、日本のエースとしてのプライドがにじみ出た。

 13年WBCでは計15回で18三振を奪い、防御率0・60でベストナインに選ばれた。日の丸の重みは2月の代表合宿で嫌というほど痛感したという。右肩に痛みを抱えて合宿入りすると、連日のように「マエケン右肩痛」の見出しがスポーツ紙の全国版1面を飾った。「あれはあれで、次に向けてのいい経験ですね。WBCすげえなと思いましたもん。僕が肩痛いだけで、そんなんで1面になるんだ、と」。想像を絶するプレッシャーや注目と闘う覚悟は、とうの昔にできている。

 昨オフに将来的なメジャー挑戦希望を表明し、今オフは残留が確実。来オフ以降に向け、バックネット裏から熱視線を送った10球団以上のメジャースカウト勢にあらためて実力を見せつけた形だが、日本を勝利に導くことしか考えていなかった。「すごく大事なマウンドだと思って投げた。ボールにも対応できたし、そういう意味では良かった」と、笑顔で振り返った。

 04年から続く日米野球の連敗を6で止める快投。小久保監督は「前回(06年)全敗したことを、すごく意識していた。初戦をエースで勝つことが大事。日本のエースとしての自覚が投球に表れていた」と絶賛した。ジャパンの大黒柱は「MAEDA」。もう、世界の共通認識だ。【佐井陽介】