<全日本大学野球選手権:東日本国際大2-1静岡大>◇10日◇1回戦◇東京ドーム

 43年ぶり2度目の出場となった静岡大(東海地区)は、初戦で惜敗した。東日本国際大(南東北)と対戦、主力メンバーの教育実習による練習不足なども影響し、敗れた。8回まで無得点に抑え込まれていたが、9回表2死一塁で、6番山本大貴(3年)が適時三塁打を放ち、静岡大としては同選手権初得点をマーク。1点差まで詰め寄り、意地は見せた。

 0-2で迎えた9回表。このままでは終われない。静岡大は先頭打者の3番・稲葉瞬(4年)が中前打で出塁。2死一塁で6番山本がチェンジアップを狙い打ちし「どうしても打ちたかった」と左中間を抜ける適時三塁打を放った。初出場の71年大会では成し遂げられなかった大会初得点を挙げた。

 大沢智史主将(4年)は「最後に(山本)大貴が打ってくれて。うちらしく、ベンチはばか騒ぎだった」とムードは最高潮。なおも2死三塁と同点のチャンスだったが、菅原嘉泰(3年)の打球は三塁方向に転がり、こん身の一塁へのヘッドスライディングもゲームセット。同主将は「東京ドームに来て自分も緊張した。でも最後は、いつも通りの力を出せました」と最善を尽くした実感を口にした。

 直前の調整では、主力メンバーの教育実習が重なってしまった。1番大沢主将をはじめ、主軸打者の稲葉、関戸大祐(4年)、山本が、1~2週間ほど練習に参加できなかった。横山義昭監督(61)は「相手投手が思ったよりもコントロールが良かった。(6安打中)内野安打が3本。長打が出なかったのは練習が途絶えたのが大きかった。勝とうと思ったので悔しい」と唇をかんだ。

 国立大は限られた時間と環境しかないものの、大沢主将は「そういうスタイルでも少しは結果を出せることを見せられた。後輩にもう1度、この舞台に来て1勝を達成してほしい」と託した。43年前は0-7で中京大に7回コールドで初戦敗退している。今回も負けはしたが、全国で「進化」の爪あとは残した。【藤中栄二】