ドラフト会議で広島から5位指名された盛岡大付・伊東昂大投手(3年)が、一夜明けた30日、同校で近藤芳久スカウト(44)の指名あいさつを受けた。リーグ優勝を目標に掲げた野村謙二郎新監督(43)の下、伝統的な厳しい練習が復活。伊東は「厳しいところでやりたかった」と、12球団一の猛特訓も大歓迎した。

 赤帽子を近藤スカウトに、かぶせてもらった瞬間、硬かった伊東の表情が緩んだ。中学では紺、高校では青がチームカラーだった。ドラフト当日の前日こそ「似合いますかね」と不安そうだったが、この日は自信の表情でポーズを決めた。

 近藤スカウトの言葉を受け、伊東の心は文字通り“赤い炎”のように燃えた。「しっかり練習しなさい。指名順位なんて関係ない。プロ入りすれば横一線」。ブラウン体制から野村体制に変わり、厳しい練習が復活した。「ランニングの量は倍、先発投手の100球制限も撤廃です」と近藤スカウト。だが伊東の表情に変化はない。

 高2の時に、1日1200球の投球練習をした。翌日は1000球と続け、5日間で何と約5600球を投げ込んだ。今年5月には練習試合8連戦で、すべてに先発登板。伊東は「スタミナには自信がある」と話す。近藤スカウトも「連投できるスタミナが魅力。完投型の投手になってほしい」と指名理由を語った。

 プロになる実感も沸いてきた。祝福のメールが66件も届いた。中には西武が交渉権を獲得した菊池のメールも。「『お互い頑張ろう』と送り合った」と伊東。この日も、浮かれることなく取材後、足早に練習に向かった。【三須一紀】