戦争になったら野球ができない-。日本ハムから1位指名を受けた早大・斎藤佑樹投手(4年=早実)が24日、東京・東伏見の早大グラウンドで自主練習を行い、前日23日に北朝鮮が韓国に対して砲撃した事件を憂いた。

 約1時間の練習を終え、寮に戻る道中だった。「戦争、どうなるんですか」。前日の練習後、テレビで繰り返し流れた話題を自ら切り出した。この日、民間人の遺体が発見されるなど、被害は拡大する。「戦争が始まったら、野球ができない」と、人ごとには思えなかった。

 韓国とは今夏の世界大学野球選手権の開幕戦で戦い、斎藤は先発して勝利を挙げた。08年の同選手権でも投げており、顔見知りだっている。幼少時からヨーロッパ、エジプト、大学入学後も米国、台湾、チェコ、ブラジルなど数々の国を訪れ、世界各国の人と触れ合ってきた。

 この日は「いずれは、病気の方や子供たちに何かできれば」と、プロ入り後のチャリティー活動に意欲を見せた。08年3月の広島遠征(対シカゴ大)では、原爆ドームを訪問。「同じ世代で亡くなった人を思うと、野球ができる幸せを感じます」と献花した。東京6大学には第2次世界大戦でリーグ戦が中断した歴史もある。平和を願う22歳にとっては、すべてが対岸の火事には思えなかった。【前田祐輔】