野球部存続の危機に直面した無名公立校のエースは、闘将のお墨付きをもらっていた。楽天にドラフト9位指名された岩出山・今野龍太投手(18)が25日、大崎市内の同校で指名あいさつを受けた。運命の日から一夜明け、最速146キロ右腕は「メールがたくさん届いて、学校でもみんなに『おめでとう』と言われた」と笑顔。前夜は、帰宅した今野の顔を見た母恵美さんが号泣して喜んだという。

 楽天安部井編成部長と上岡スカウトから指名の経緯を聞くと、今野の表情が変わった。ドラフト前日の23日、最終候補の約50人に入っていた今野の映像を見た星野監督が「おもしろいな。ええやないか」と太鼓判を押し、指名が決定したという。上岡スカウトは「地元枠とかではなく、今野君を評価して楽天に必要なので獲得した」と説明。今野は「プロに入ったら1位も9位も関係ないと言ってもらえた。頑張らないといけない」と気を引き締めた。

 プロでの最初の目標は「150キロ出す」と掲げた。学校創立84年で初のドラフト指名を受け、一躍ヒーローになった今野はこの日、文化祭できゃりーぱみゅぱみゅの曲を披露する予定だったが指名あいさつのため“出演”をキャンセル。晴れ姿は、Kスタのマウンドで見せる。【鹿野雄太】