2年連続で球界最速を塗り替えた!

 日本ハム・ダルビッシュ有投手(22)が1日、札幌市内の球団事務所で代理人とともに契約更改交渉に臨み、7000万円増の年俸2億7000万円プラス出来高で更改した。プロ5年目としては球界史上最高額での一発サイン。パ・リーグ投手の現役最高年俸になることも濃厚となった。(金額は推定)

 “無抵抗”でも記録的な金額だった。スーツ姿で契約更改交渉に臨んだダルビッシュは、来季年俸の明言こそ避けたが「額?

 そのくらいだろうと。タイトルも取ってないし」と納得顔の一発サイン。それでも、あっさり日本球界では5年目の選手として史上最高額、チームの最高年俸に到達した。

 今年も代理人の布施裕弁護士が同席、約50分の交渉だった。布施弁護士によると「お金の話は最初の何分かで、今年は無理をしていません」と、球団の提示額をそのまま受け入れる形で決着した。1億2800万円の大幅増だった昨年の契約更改は「無理を言った」(同)が、今年は抵抗することなく35%増に判を押した。

 昨年に続き記録ずくめとなった。年俸2億7000万円は、ヤクルト青木の2億2000万円や巨人上原の2億1000万円を上回り、5年目での史上最高額を更新。1日の時点で今季1億9000万円の杉内、同2億円の和田らソフトバンク勢の契約更改が終わっていないが、パ・リーグ投手の現役最高年俸となるのも濃厚だ。昨年の更改で、球界史上最速で最年少の2億円プレーヤーとなったが、今年も“新記録樹立”となった。

 球界やリーグだけでなく、チームの顔にもなった。すでに2年契約の総額6億円で契約更改を終えている稲葉は年俸だけなら2億5000万円で、島田チーム統轄本部長は「単年の純粋な年俸だとチームトップ」と明らかにした。「ブルペンに休みを与えてくれた」と、12球団トップの10完投を高く評価しての7000万円アップだった。

 来季は選手会の会計も務めることが決まっている。「この年で厳しいと思ったけど(会長の田中)賢介さんに『お前でないと』と言ってもらったので貢献したい」。22歳では異例とも言える役員就任で、グラウンド外でもチームを引っ張っていく立場に変わってきている。

 チームの顔、リーグの顔、そして球界を代表するエースに成長したが「しょせん3年しか10勝以上していないし、そんな偉そうなことは言えない。1試合1試合、相手にしっかりダメージを与えられるような投球をしたい」。順当に選出されればWBCから幕が開く09年も、ダルビッシュが主役になる。【村上秀明】