侍ジャパンのラーズ・ヌートバー外野手(25)が、WBCのチーム初安打を放った。 「1番中堅」で出場。「かっ飛ばせ、かっ飛ばせ、タツジ」コールの中、1回の第1打席、初球を捉え中前打。その後の3者連続四球で、先制のホームを踏んだ。4打数2安打2四球、4出塁で1番打者の仕事を完遂。3回の守備ではスライディングキャッチでの好捕も見せ、攻守で白星発進に貢献した。

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ヌートバーの快音が日本の攻撃の始まりを告げた。1回裏先頭の第1打席。その初球だ。ミドルネームの「タツジ」コールが響く中、王翔の137キロを中前にはじき返した。

「初球のヒット、待ち望んでいたよ。運も味方して野手の間に打球が飛んだのはうれしいね」

一塁ベース上でほえた。おなじみとなった「ペッパーミル・パフォーマンス」も披露。その後、満塁となると4番村上が押し出し四球を選び、先制のホームイン。日系米国人として初のWBC日本代表選手となった男が初得点を演出した。

試合前、君が代を懸命に歌った。宿舎での朝は、ほぼ毎日納豆ご飯を食べる。「試合前セレモニー、大観衆に囲まれてプレーすること。素晴らしい経験だね」。その顔は“サムライ”の気概にあふれている。

チーム合流後、みんなが「たっちゃん」と呼んでくれた。すぐに溶け込むことができたのもヌートバーの人柄があってこそ。この日、観戦に訪れた母・久美子さんには、小さい頃から「目上の方はリスペクトすること」、「時間を守ること」、「友だちと仲良くすること」と、口酸っぱく言われてきた。日本流の礼節が身に染みついている。

21年6月、メジャーデビューした時、両親は結婚30周年のタヒチ旅行の最中。試合を見に来ることができなかった。今度は両親の前で堂々の晴れ舞台。3回1死の守備では、中堅前の飛球をスライディングキャッチ。「両親とシェアできたこと、スペシャルな瞬間でした。週末は祖父、祖母が加わってファミリーが一緒になる」。援軍は何人いたっていい。

大谷の投球を中堅から見守り「呼吸するのを忘れるほど素晴らしい瞬間。ビデオゲームのような世界を経験させてもらった」と笑顔だ。驚異の4出塁でリードオフマンの役目を果たしたヌートバーが、侍の先頭に立つ。【中野椋】

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