【マイアミ(米フロリダ州)18日(日本時間19日)=四竈衛】侍ジャパンで最年長のダルビッシュ有投手(36)が、頂上決戦となる21日(同22日)の決勝にスタンバイすることになった。

連覇した09年の第2回大会で胴上げ投手となるなど、大舞台の経験も多く、今回は名実ともにチームの中心的存在。準決勝を後輩たちに託し、ベテラン右腕は最後の戦いに向けて待機する。

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日米通算188勝のベテラン右腕は、決戦の地でも落ち着き払っていた。全体練習では、強めのキャッチボールなどでマイペース調整。空き時間には、ともに侍OBで現地取材中の上原浩治氏(日刊スポーツ評論家)や福留孝介氏らと談笑するなど、終始リラックスした表情だった。「特に重い感じもなく、割と普通に練習できたと思います」。長時間フライト後だったものの、「自分は昨日結構寝られたので、今のところは感じずにいられています」と時差ボケの影響もない。

ダルビッシュが向かうのは、準決勝ではなく、決勝のマウンド。「ここまでと変わらない準備を個人でやっていくことが大事。自分の持っている力を全部出していくだけです」。この期に及んで、難しい思考は必要ない。シンプルな言葉に、熱い思いを込めた。

16日の準々決勝イタリア戦では、4番手として救援し、2回1失点。交代後は、ブルペンで追加の投球を行うなど、球数を増やして新たなステップを踏んだ。「単純に僕はイニングを踏めていないので、パドレスに対してちょっと迷惑かけている状態になっているので、そこはちょっと気がかりです」。準決勝へ向けて、栗山監督は残り試合は総動員態勢を明言しており、現時点で決勝での起用法は未定。ただ先発も救援もこなすダルビッシュにすれば、いずれにしても万全の準備をするしかない。

2月中旬の宮崎キャンプ以来、約1カ月間は「単身帰国」でもあり、疲労が蓄積していても不思議ではない。「オープン戦だと、段階ごとにメンタル的にも技術的にも上がっていくところを、1試合目から100を求められるような形だったので、メカニクスであったりとか、若干疲れがたまったりというのはあると思います」。もっとも、前日にはマイアミ入りしていた家族と再会。ようやく「ホーム」に戻ったダルビッシュは、日本のファンと家族へ感謝の思いを胸に、最終決戦のマウンドに向かう。

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