マー君にWBCの秘策誕生なるか!?

 楽天田中将大投手(24)が13日、新球「シュート系スプリット」を試した。ブルペンでWBC使用球で21球を投げた後。グラブの中で、ボールを握る右手をゴニョゴニョ動かした。22球目。右打者の内角に食い込む軌道で落ちた。捕球した伊志嶺に「握り、変えた?」と聞かれ、「ちょっと握り、変えました」と答えた。

 ブルペンでは全部で40球を投げ、新球はこの1球だけ。「握りを変えたら、どう変化するか見てみたかった。中指にかけたんですが、あっち(右打者の内角)に落ちた。あれ?

 と思いました」と明かした。通常のスプリットは、人さし指と中指の両方をボールの縫い目に添える。新球は、人さし指を縫い目から外し、中指にだけかけた。右打者の外に逃げながら落ちる軌道をイメージしたようだが、反対の方向に落ちた。

 狙いについては「遊びです」と多くを語らなかった。まだ「どういう変化になるのか分からない」段階だ。ただ、ネット裏で見守った三輪バッテリーコーチは「WBC球は変化が大きい。いろいろ試しているのだろう」。伊志嶺は「打者が想像しない軌道。決まれば使えると思う」と証言した。急ピッチでものにすれば、世界の競合相手に戦う武器になるかも知れない。

 田中ら代表候補3人は、この日で久米島キャンプを打ち上げた。ナインへのあいさつで、田中は「晩ご飯を食べながら応援してください」と笑わせた。新たな宝刀を磨き、侍エースが行く。【古川真弥】

 ◆田中の変化球

 直球と球速がほぼ同じツーシーム、140キロ台前半のスプリットとスライダーの3つが中心。1試合に数球、チェンジアップと120キロ台の高速カーブも投げる。以前は110キロ台の遅いカーブも投げていたが「精度が低い」と封印した。昨季オープン戦期間中には、左打者の懐に浮き上がるように食い込むライジングカットにも挑戦した。