日本ハム大谷翔平投手(22)が右足首痛で侍ジャパンを辞退した。騒動となった背景を見ると、侍ジャパンの問題点が透けてくる。「足首も含め、調整が少し遅れている話までは聞いていた。それが今日、突然の発表だったので。詳細は全く把握していない状況。一方的に向こうで会見が開かれ、聞いたばかりなので」。冷静な小久保監督が感情的になった。2月1日、キャンプ初日の視察が「大谷辞退」の報で吹き飛んだ。米アリゾナで、現地時間1月31日、日本時間では2月1日の未明、日本ハムが「投手としてはWBC出場を断念する」旨を会見で明らかにした。

 さらに2月3日、小久保監督は登録28選手から外すことを発表した。1月下旬からの時系列をたどる。

 <1>小久保監督は大谷本人の現状を把握しているつもりでいた。

 <2>日本ハム側は「投手としての出場は極めて難しい。野手で出場する可能性は探る」と侍側に報告した。

 <3>日本ハムの報告が小久保監督に伝わっていなかった。日本ハム側にはキャンプインのタイミングという事情があり、大谷が完全別メニューとなることから、米国時間1月31日の会見で発表した。

 <4>2月2日、NPBの井原事務局長が「連絡の行き違いがあるのは確か」と認めた。小久保監督は「個人的に連絡は取らない」と話し、結論が出るまで大谷と話すことをやめた。

 報告を受けた人物が、事の重大性を理解せず、小久保監督に迅速に伝えなかった。問題はここに尽きる。選手のコンディションという最も大切な情報が、オンタイムで監督に入ってこない不思議さ。野球はもちろん他競技でも考えづらい。監督、選手、NPB、侍ジャパン。4者間の連絡系統が確立されていなかった。選手の状態について把握し、連絡の窓口となる編成部門を設けるか。監督に直接連絡が入ってくるようにするか。難しいことはない。

 小久保監督はかわいそうだったが、反省すべき点もある。就任から3年以上もの時間があった。最低限、球場に足を運んだ際でもいい。日本ハム側と積極的にコミュニケーションを図り、信頼関係を築けていたか。二刀流という調整が難しい選手を預かる以上、絶対に必要な仕事。内輪の話が公になることもなかっただろう。【WBC取材班】