ボクシングのWBC世界バンタム級王座挑戦者決定戦が、同級3位マーク・ジョン・ヤップ(29=六島)と同級9位井上拓真(22=大橋)で、9月11日に東京・後楽園ホールで行われることが21日、発表された。

 勝者は同級1位ノルディ・ウーバーリ(31=フランス)-同級2位ペッチ・CPフレッシュマート(24=タイ)の同級王座決定戦勝者に挑戦する予定。

 東洋太平洋同級王者のヤップはこの日、大阪市の六島ジムで会見。相手は“モンスター”井上尚弥の実弟というサラブレッドだが「チャンスね。アイ・ウォント・トゥ・ビカム・ワールドチャンピオン(世界王者になりたい)。拓真? いける、いける。多分KO(勝ち)ね」と、懸命に英語と日本語を織り交ぜ、自信満々に言い放った。

 ヤップは07年1月に母国フィリピンでプロデビュー。14年に元世界3階級王者・長谷川穂積氏のスパーリングパートナーとして来日した際、同ジムの枝川孝会長がポテンシャルにほれこみ、同年に同ジム入りした。

 全体の戦績は41戦29勝(14KO)12敗と平凡だが、拠点を日本に移してからの4年弱は、東洋太平洋タイトル奪取、防衛3回など11戦10勝(4KO)1敗。右オーソドックスのハードパンチャーとして才能を開花させた。

 枝川会長は「最初は荒削りで“ええもの持ってるただの人”やったけど、順調に力をつけてきた」と言い、井上戦にも余裕の表情。「戦い方は2つ。(井上の)兄貴のモンスターみたいにドン、ドンと踏ん張って、バン、バンと仕留めるか、いつも通りに足を使って出入りして、流れで決めるか。どっちもできるように準備するけど、打ち合いに来てくれたら、チャンスやね」と青写真を明かす。

 会場は東京。アウェーでの戦いになるが、ヤップは「拓真とどっちがパンチがある? 私! オフコース!」。故郷にいる両親と6人の兄弟姉妹のためにも「家を買いたい」という男が、ジャパニーズドリームをつかむつもりだ。