新日本プロレスの鈴木みのる(50)が23日、出身の横浜市の赤レンガ倉庫でデビュー30周年記念イベント「大海賊祭」を行い、オカダ・カズチカ(30)と大雨の中で熱戦を繰り広げた。金の雨を降らせる「レインメーカー」を記念試合の相手に迎えたが、野外リングに降ったのは大粒の梅雨の雨。ただ、そこには熱気が満ち満ちていた。

 ずぶぬれのファンの前に、姿を見せた鈴木の頭は白髪、そしてパンツも白。いつもの黒とは違ういでたちでにらみを利かせると、声援がとどろいた。続くオカダの入場時にはいつもと同じく「レインメーカードル」が宙を舞い、これにもどよめきが起きる。オカダが“リアル・レインメーカー”として雨に打たれながらコーナーポストに上ってアピールし、ゴングは鳴らされた。

 滑るリングにも修練された技術がその悪環境を上回る。ロックアップからロープワーク、殴打、そしてドロップキックに関節技。時にはぬれた顔をぬぐいながら、汗と雨にまみれた2人の肉体からは湯気が立ち上った。鈴木は卍固めにチョークスリーパー、オカダはツームストンパイルドライバー、そして鈴木得意のゴッチ式パイルドライバーで意表を突く。レンガ倉庫に響く鈴木の「オカダ!!」という挑発の声、観客からの「みのる!」の声。雨音に負けない一体感が、鈴木が生まれ育った町に広がっていった。

 試合は30分引き分けに終わった。2人のトップレスラーによる大雨の野外リングの決闘。30周年記念だから鈴木が勝つのではというシナリオに抗するように、互いに出し切り、ゴング後には倒れ込み、雨に打たれた。先に退場したオカダにも、ねぎらいの大声援が飛んでいた。

 ようやく立ち上がった鈴木は「『惜しい』とかじゃねえんだよ」とファンの声に一喝。「勝って次に行かなきゃ意味ねえんだよ」と悔しさをあらわに。あえてここで毒づく「世界一性格の悪い男」のらしさを全開に、語り続けた。最前列を用意した地元の子供に向け「おい、クソガキども。世の中出たら、勝ち続けなきゃ上に行けねえんだよ。世の中、そんなに甘くねえぞ。勝ち続けることだ」と言葉を送った。