WBO世界フライ級3位中谷潤人(22=M・T)が2度延期の末に世界初挑戦で世界王座をつかんだ。同級1位ジーメル・マグラモ(26=フィリピン)に8回2分10秒、KO勝ちをおさめた。ダウン経験のない相手を左ボディーからの左フックでダメージを与え、左右の連打でキャンバスに沈めた。コロナ禍で外国選手を招いた国内初の世界戦でデビュー21連勝(16KO)。中1で世界を目指し、中卒で単身米国修行で目指した目標を達成した。一家挙げてのサポートへも恩返しを果たせた。2年ぶりの新王者誕生で、国内男子の現役世界王者は7人となった。

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▽山中慎介氏(元WBC世界バンタム級王者) 中谷は体が強い。マグラモはついていけなかった。表情にも出ていたし、精神的にもダメージがあったはず。(9年前の)同じ日に世界王者になり、うれしいし、縁を感じる。海外でもやれると思う。井上尚弥のように世界でも評価されるだろう、面白いボクシングをする。

▽小林昭司氏(元WBA世界スーパーフライ級王者) 中谷は完璧で、狙った通りの展開になった。打たれ強さもある。統一戦も狙えるし、海外でも見てみたい。

◆記録メモ 中谷は日本ボクシングコミッションが公認する日本の世界王者として91人目となる。18年12月の井上拓真がWBC世界バンタム級暫定王座に就いた後は、世界王座獲得経験のない日本選手は世界戦9連敗中(日本人対決を含む)だった。三重県出身では初。デビューから全勝は24人目で、フライ級は20人目で最多を更新した。日本勢の対フィリピン通算は36勝(14KO)21敗(12KO)3分けとなった。