ボクシング4団体統一スーパーバンタム級王者井上尚弥(32=大橋)がプロ初の中央アジア勢撃破で「因縁」決着を狙う。14日、名古屋・IGアリーナでWBA世界同級暫定王者ムロジョン・アフマダリエフ(30=ウズベキスタン)を迎え撃つ。13日には同会場で自身国内初となるファン公開の前日計量に臨み、リミット(55・3キロ)よりも少ない55・0キロでパスしたアフマダリエフに対し、55・2キロでクリア。プロ・アマを通じキャリア最後の黒星を味わった「スタン」系選手を倒し、最強を証明する。
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国内では自身初のファン公開計量に、井上は気持ちを高揚させた。会場に集結した1492人のファンが見守る中で計量クリア。13秒間の至近距離フェースオフ(にらみ合い)、笑顔の握手も交わし「すごかった、この人数のお客さんが来てくれて。思った以上に盛り上がった。(気持ちは)いつもより段違い。試合に対する自分のモチベーションの高さ、楽しみ、自然に(笑顔が)出た」。着用Tシャツも観客席に投げ入れ、行動で感謝を伝えた。
「キャリア最大の強敵」アフマダリエフはウズベキスタン出身。プロ初の中央アジア勢との対決となる。井上は「実力的にここ一番、評価している。(23年7月)フルトン戦や(24年5月)ネリ戦、ある意味それ以上」と認めた。さかのぼれば井上にとって最後の黒星はアマ時代の12年4月、アジア選手権の決勝のビルジャン・ジャキポフ(カザフスタン)戦だった。
父真吾トレーナー(54)は「『スタン』系の選手はアマからやっていてみんな強い。アフマダリエフはそこを抜け、アマでトップでプロで世界王者になった。『スタン』系という点を含め警戒してきた」と強調。中央アジア勢との“因縁”決着の準備は万全だ。
井上は「(前回と)違う、生き生きし、楽しそうな井上尚弥を見てほしい。そんな自分に明日は期待したい。1回からヒリヒリする展開、楽しい展開になると思う。そこを楽しみながら戦う」と自信の表情。世界戦26連勝、4団体統一王者のV5防衛という世界記録も達成し、最強の存在感を放つ。【藤中栄二】
◆井上-ビルジャン・ジャキポフ戦VTR 12年4月、カザフスタンで開催された12年ロンドン五輪予選を兼ねたアジア選手権のライトフライ級決勝で、井上はジャキポフと対戦。19歳の井上はスピード感あふれる動きでワンツーを打ち込んでいくが、ジャキポフの左右フックを浴びる競り合いの展開に。さらに相手の強引なクリンチやフック系パンチでバランスを崩され、判定負け。五輪出場の最後の1枠を逃した。
◆中央アジア勢 国名の語尾にある「スタン」とはペルシャ語に由来し「土地」「場所」の意味。ペルシャ帝国の影響下から民族の居住地域を表すためウズベキスタン、カザフスタン、タジキスタン、トルクメニスタン、キルギスタン(現キルギス共和国)と特徴的な国名になったとされる。

