元WBA世界フライ級王者・坂田健史(30=協栄)が、同王者亀田大毅(21=東日本協会)に対戦受諾を強く要望した。世界ボクシング協会(WBA)は3日(日本時間4日)、米ラスベガスで大毅-坂田戦の入札を行い、協栄ジムが31万5000ドル(約3000万円)で落札したと発表。試合決定には20日以内に両陣営のサイン入り契約書のWBAへの提示が不可欠で、坂田陣営は「きちんとサインして対戦してほしい」と合意を待ち望んだ。

 所属の協栄ジムが大毅との世界戦を落札した一報を受け、坂田が安堵(あんど)の表情をみせた。10年2月にWBAから大毅の初防衛戦の相手として指名されながら、約3カ月間も交渉が難航。WBAの入札で、同ジム金平会長が31万5000ドル(約3000万円)で落札した朗報を受け「ひと安心。試合できることがうれしい」と笑顔をみせた。早速、4日午後に東京・新宿区の同ジムで6回の本格スパーリングを行うなど精力的に動いた。

 これで20日以内に両陣営のサイン入り契約書がWBAに提出されれば正式決定となる。もし大毅陣営が対戦拒否すれば同王座はく奪となるため、交渉のテーブルに着くとみられる。しかし予断は許さない。入札には大毅陣営の委任状を持ったメキシコ人プロモーターが参加。亀田ジムは現在無期限活動停止中だが、WBAは「入札参加はJBCの処分連絡前にきたから」と認めた。関係者によれば、入札金は最低金額(8万ドル)に届かない額だったという。坂田を指導する協栄ジムの大竹トレーナーは「逃げずにきちんと戦ってほしい」と強く要望した。

 これまでの交渉難航は亀田兄弟が協栄ジムと計約1億円のファイトマネー支払いを求めて係争中であることが原因にある。協栄ジムは大毅を預かる東日本協会、JBCと協議した上で大毅陣営と交渉に入る見通しだ。金平会長は「ファイトマネーの件は、お互いの意見を戦わせている最中。試合は試合と別で話し合うこと。当然、亀田家と、大毅くんの意思を含めて話をしていかなければならない」と理解を求めた。

 試合日は協栄ジムの意向で7月24、25、31日が予定される。WBAの規則で、王者の大毅が75%、挑戦者の坂田が25%の報酬を受け取る。坂田は「必ず決まるだろうと思っている。頭の片隅に相手(大毅)対策を入れてやっていますから」と、自然体で大毅の決断を待つ姿勢だ。【藤中栄二】