三段目の優勝争いは、7戦全勝で並んだ西49枚目の唐津海(29=玉ノ井)と、東85枚目の佐藤山(17=八角)による、千秋楽の優勝決定戦に持ち込された。

 6戦全勝で3人が並んだこの日、まず佐藤山が優勝圏外の力士(田子ノ藤)を押し出しで破り、優勝決定戦への切符を手にした。

 11日目の6番相撲で、ここまで序ノ口から無傷の12連勝だった元横綱大鵬の孫・納谷を寄り倒しで破り、プロ初黒星をつけた。この白星が「少しは(優勝の)意識をして、自信もついた」(佐藤山)一番となりこの日につなげた。

 それから8番後に土俵に上がった唐津海は、木崎海(23=木瀬)との全勝対決を制し、千秋楽の決戦に臨む。稽古では常に、電車道で一気に押される相手を、この日は耐えに耐え、いなして体を崩し勝機を逃さず押し出した。「どうせ勝てないんだから変化しようかな、とも思ったけど、相手に悪いから。まともに行って負けたら仕方ないと思って」と駄目もとの気楽さもプラスに働いたようだ。

 部屋では欠かせぬ、ちゃんこ長。持病もあり稽古も100%ではない。それがアレヨアレヨの快進撃。ちょうど10年前の08年夏場所で初めて幕下に上がった。そこから三段目や序二段と昇降下を繰り返したが、来場所は1年ぶりに幕下復帰が確実。「来場所が心配です。来場所のことを考えると胃が痛くなりますね。(今後の目標は)これといってないです」と話す無欲のベテランに、10年初場所(序二段)、11年秋場所(三段目)に続く自身3度目となる各段優勝の夢が舞い込んできた。