大相撲九州場所(11月10日初日、福岡国際センター)で大関に復帰する貴景勝(23=千賀ノ浦)が16日、静岡・浜松市で秋巡業に合流した。

左大胸筋の肉離れにより、5日から始まった今巡業は初日から休場。巡業参加は新大関として迎えた4月の春巡業以来で「夏(巡業)も休んで、うれしいというか久しぶりという感覚」と、淡々と話した。

この日の朝稽古では四股やゴムチューブを使ったトレーニング、付け人を背負ったスクワットで下半身を重点に鍛えたほか、腕立て伏せで上半身にも負荷をかけた。痛がる素振りも見せず、本割でも相撲を取り、秋場所の優勝決定戦で敗れた関脇御嶽海を退け、回復ぶりをアピール。都内で稽古を再開した1日は左胸付近に赤黒い内出血が広がっていたが、きれいさっぱり消え去っていた。「(腕立て伏せなど上半身を鍛える運動は)少しずつです。無理をせず、再断裂をしたら意味がないので」と慎重な姿勢は崩さなかったが「内出血は治まって、痛みとしても大丈夫。(回復は)早いと思う」と、復活に向けて確かな手応えを感じていた。

九州場所に向けて出場可否の判断は現時点で下せないが、最善を尽くしていく覚悟だ。負傷した秋場所千秋楽から3週間余り。診断書では全治6週間と記載されていたが「それはあくまで目安。個人差だから何とでもなる」ととらわれない。負傷した左胸付近の筋肉は、まだ本来の状態とは遠く「周辺の組織が固まった状態だと負荷をかけると切れてしまうので、固まった組織をほぐすことが大事。時間をかけて動ける形に持っていきたい」と、当面は自身のペースで基礎運動をこなしていくつもりだ。「(九州場所へ)出る気持ちで日々過ごさないと治りも遅くなるし、自分でも気の緩みになる。治りが遅くて(九州場所に)出られなかったらしょうがない。切り替えて1月(初場所)に向けて一生懸命やっていくだけ」。協会の看板力士を担う23歳は、焦りも不安も一切見せず、現時点の課題だけを見据えた。