足掛け3カ月にわたり、日刊スポーツ大相撲評論家の高砂親方(元大関朝潮)に部屋の近況やコロナ禍の思いなどを語ってもらう不定期連載「大ちゃん大分析~特別編~」も最終回。有観客での開催が決まった7月場所(19日初日、両国国技館)で力士の奮闘に期待します。

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観客を入れての7月場所開催が決まった。もちろん制約は多い。通常の4分の1の約2500人の入場者には歓声でなく拍手を推奨し、力士は支度部屋でマスク着用、アクリル板で仕切るとか感染防止対策のガイドラインは32ページにも及ぶ。それを熟読するだけでも大変だろうが、力士には忘れてほしくない。本場所で相撲が取れること、それも春場所からワンステップ上がって観客の前でだ。感染症対策には多くの専門家から助言をもらい、相撲協会全体で知恵を出し合って開催にこぎ着けた。場所に入っても不測の事態が起こり、多少の混乱はあるかもしれないが、それでも相撲を取れるありがたみを土俵の上で、かみしめてほしい。

私事で恐縮だが、12月に定年を迎える。最後と思っていた11月場所も福岡から東京開催になる。冬巡業も行われない。少し寂しい気もするが、コロナ禍や豪雨被害で泣かされ、今はそれどころではない人たちが大勢いる。それを思えば何てことはない。力士としての誇りを胸に、全国に元気を届けるような精いっぱいの相撲を取ってほしい。(日刊スポーツ評論家)