豪ノ山が100点満点の相撲を取りました。まずは考えた立ち合いです。本来は押し相撲で、差すような相撲ではありません。それがこの日は、右を差すような感じで脇を締めて当たったように見えました。意図して、あのような立ち合いをしたのかなと思います。

実際は差せなかったけど次に褒めたいのは二の矢の攻めです。差すような当たりで貴景勝の動揺を誘ったと思います。さらにそこには貴景勝は引くという、癖を読んだ攻めがあります。押し合いは五分。貴景勝の引きを誘い込んだのは豪ノ山が連日、見せてきた押しの強さがあればこそです。最後は、あの立ち合いで一瞬、見せた右を差して一気に勝負を決めました。

立ち合いが高かった貴景勝の敗因もありますが、豪ノ山の考えた相撲が光りました。押し相撲は攻撃のバリエーションが少ない。だからこそ、この日のように時には両手を着いて立ったり、片手だけだったりと、いろいろ考えることは大切です。これで3勝目ですが今は星勘定をしないでいいと思います。いい相撲があれば、相手に考えられた相撲を取られ悔しい思いをすることもあるでしょう。それも経験です。それを糧にすれば豪ノ山は強くなれます。ケガさえなければ来年の三役は間違いないでしょう。（日刊スポーツ評論家）