日本相撲協会は28日、夏場所(5月11日初日、東京・両国国技館)の新番付を発表した。先場所、東十両2枚目で9勝6敗だった嘉陽(25=中村)が、沖縄県出身としては23年九州場所の美ノ海以来、6人目となる新入幕を決めた。中村部屋としては、元関脇嘉風の現師匠が昨年6月に部屋を創設して以降、初の新入幕力士誕生となった。日体大卒としては、昨年九州場所の朝紅龍以来、戦後12人目となった。
この日は両国国技館で、中村親方同席で新入幕会見を行った。新番付を見て「自分の名前が大きくなったので、うれしかったです」と、目を輝かせて話した。三段目最下位格付け出しから、22年夏場所で初土俵。そこから所要16場所で新入幕。十両を5場所で通過し、東前頭16枚目に名を連ねた。「ケガもなく、順調にここまでこれたのかなと思います」と、入門からの3年間を振り返った。
引き、はたきによる白星も多いが、それも中村親方は「持ち味」と評価する。相撲界では、引き、はたきはケガにもつながることから、称賛されない取り口とされ、嘉陽も多用することにためらいがあったという。だが、引くにしても、はたくにしても「思い切り」と、師匠に背中を押されたことで、白星を積み上げられたと分析する。嘉陽は「思い切りのいい相撲を取れるようになったかなと思います。前に出て行く思い切りもあったり、いなしたり、引いたりも思い切ってやることができたので勝てた相撲も多かったのかなと思います」と、振り返った。
中村親方も「技術的な成長って、そんなにないと思います。もともと持っているものがあったので。それが一番勝負で出せるようになった。その要因として思い切りいけるようになった。そういう意味では、気持ちの部分での成長は大きいと思いますね。普段は、ちょっと、ふざけているようなところもあるんですけど、相撲の話になると表情が変わって、本当に真剣に聞き入れる。相撲に対して、すごく素直なところも素質」と、称賛した。
もともと中村親方の内弟子として、二所ノ関部屋に入門した。同部屋の部屋付きだった中村親方の独立で、新潟・海洋高時代から後輩だった大関大の里とは、別の部屋となった。「彼が下がってくることはない。自分が上がっていくしかない」と、今後の初顔合わせを目指している。今場所も、白星を重ねていけば、後半戦などに対戦する可能性もあるが「まだ大丈夫です」と、冗談めかして話し、愛嬌(あいきょう)のある笑顔を振りまいた。
会見では今場所の目標として「攻防のある激しい相撲を取れたらいいのかなと思います。1日1番、全力を出して、ケガしないように頑張ります」と語った。だが、直後に中村親方から耳打ちされ「10番勝って、中村部屋初の三賞をもらいます」と、目標を上方修正。会見場に笑いを起こし、またまた満面の笑みを見せた。
もともと1日20時間寝たこともあるほど「寝るのが好き」だという。食事も取らず、トイレや風呂などを済ませた以外、ほぼ寝ていられた日もあった。幕内は取組時間が遅くなるだけに「その分、また寝られますね」と話し、また笑った。「泳げないし、指笛もできないし」と、またまた笑って話し、自身は沖縄県出身らしくないという。ただ、おおらかな雰囲気など、沖縄県出身らしさも色濃く残る、癒やし系の雰囲気が魅力の幕内力士が誕生した。【高田文太】

