夏場所から土俵の高さが1寸(約3・03センチ)、低くなった。高さの変更は特に公表の義務はなく、あまり知られていない。審判部の親方衆も力士たちも気付いていないとみられる。土俵を作る呼び出しには、土俵築を指揮する「監督」が5人いる。監督の1人、大吉(54=八角)は「気付いた親方がいたら説明にいくつもりでいますが、今のところないですね」と話した。
土俵の高さの規定は、34~60センチと幅がある。今場所は、高さが1尺9寸(約57・57センチ)から1尺8寸(約54・54センチ)にした。寸尺で測っているあたりは、大相撲らしい伝統でもある。なぜ1寸低くしたのか? 両国国技館の土俵は、1985年の開業以来ずっと電動で床下に収納できる仕組みになっている。まずは土俵をまっすぐ下ろし、床下で正面から向正面側に横にスライドさせる。しかし、前回の東京での本場所用に作った土俵を収納する際、徳俵が引っかかってスライドできなかった。異音が発生し、徳俵が外れて呼び出しが修理したことがあった。
原因ははっきりしていない。昨年、収納するためのモーターを、これまでとは別メーカーのものに取り換えたことが原因とも見られるが、真相は不明のまま。土俵築の監督の1人、呼び出しの吾郎(62=大嶽)は「また機械にひっかかっては大変なので、低くすることにしました」と説明した。地方場所は1尺9寸のままだが、東京での本場所は1尺8寸の高さに変更。夏場所前の土俵築の際、基準となる金属棒を使い、呼び出しが手作業で整えた。
しかし、1寸=約3・03センチ低くしただけでは、誰も気付かない。2003年春場所初土俵で最古参関取の佐田の海(39=境川)も、気付かなかったという。「それに気付いたら、逆に神経質すぎて怒られますよ」と苦笑いしていた。
この高さで床下収納がうまくいくかは、まだ分かっていない。日本相撲協会の施設管理・活用推進室の冨安喜章課長(元十両山錦)は「6月3日に協会員の研修会があるので、2日にしまってみる。できるかどうかは、やってみないと分かりません…」と話している。【佐々木一郎】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)


