3月いっぱいでSKE48を卒業する市野成美(18)が27日、名古屋市のSKE48劇場で卒業公演に出演した。

 11年に5期生としてSKE48に加入した市野は、選抜経験こそなかったものの、劇場公演を支える中心メンバーとして活躍。6年半で582回ものステージに立った。

 アンコールでは、「あっという間の少女」「向日葵」「Glory Days」を披露した。「あっという間-」は、研究生時代に「公演頑張った組」というユニット名で参加した楽曲。「Glory-」では、尊敬する斉藤真木子(23)からジャケット、帽子を交換され、センターポジションも譲られる粋な演出で、場内から大歓声が上がった。

 同期の江籠裕奈(17)古畑奈和(21)とは、5期生ソング「目が痛いくらい晴れた空」を歌った。市野と「えごなる」の愛称で知られ、高校の同級生だった江籠は、市野に「本当に卒業しちゃうの?」と問いただした。市野が力強くうなずくと、下を向いて涙を流した。市野の卒業を聞いた時には、「たぶん泣けないと思うから、目薬を持っていくね」と強がっていたという。市野にしたためた手紙で江籠は、「涙を見せたら負けだと思ったから、目薬とか言ってたけど、『置いて行かないで』という気持ちでした」と素直な気持ちを明かした。

 江籠、古畑だけでなく、「恩師」斉藤も、市野への別れの手紙を読み上げた。公演の欠員が出た際、劇場スタッフから最初に頼られる存在だった市野が、プレッシャーに耐え続けたことを近くで見てきただけに、「ごめんね。つらかったね。その優しさにみんなが甘えてきた」と申し訳なさそうに話した。ねぎらいの言葉に、市野もこらえきれずに涙していた。

 仲間たちの思いを受け止めた市野は、「この6年半、劇場公演をずっとずっと大切にしてきたけど、そこだけで使われるのも嫌だなって思っていた。もっともっと、いろんなところに出たかったなって、今も思ってます」と本音を明かした。

 市野は卒業を機に芸能界を引退する。「ここにいて良かった。入って良かった。みんなと出会えて良かったと思う。4月からここを離れたら、一般人になって、皆さんと会うこともないと思う」。劇場をこよなく愛した市野の要望で、最後の曲は特注の新衣装ではなく、飾りを付けたいつもの公演衣装で踊った。斉藤から「1周、回って(衣装を)見せて」とお願いされると、市野はキレキレの高速ターンで応え、「速い、速い」と突っ込まれていた。