「スポーツを通し、いかに選手に向き合って表現できるかを大切にしています」。そう話してくださったのはスポーツカメラマンの嶋田健一さん。サッカー、バスケットボール、野球と幅広く撮影し、新聞、雑誌などさまざまな媒体に提供しています。

野球は主に高校野球の夏の新潟大会を撮影しています。この夏の印象的なショットを見せていただきました。決勝の帝京長岡-日本文理戦。サヨナラ打を放ってうれし泣きしている日本文理の玉木聖大選手に、鈴木崇監督が笑顔で寄り添っている1枚。「玉木君はなかなか打てなくて苦しんでいた。鈴木監督は厳しく叱咤(しった)しながらも彼の活躍を信じていた。それが見えた瞬間でした」と嶋田さん。私も思わず涙が出そうになりました。

自分の打席の直前に素振りをする選手、三塁コーチが観客席で応援する部員とコミュニケーションを取り合う瞬間…。「狙っているのは、その媒体に求められている場面。自分の思いではなく、必要とされる写真を撮るのが仕事です」。熱い気持ちの土台にはプロとしての冷静な視点があります。だからこそ、その時にしかない選手の思いに向けて逃さずシャッターを切れるのだと感じました。

私はアイドルとして、撮影される側として、ステージに立つプロとして、自分に求められていることを考えて行動しなければなりません。嶋田さんの姿勢はプロとしての私自身を改めて意識するきっかけになりました。(NGT48 真下華穂)