30日に開催予定だったAKB48グループの東京・国立競技場でのライブが、荒天のため中止になった。同日午後1時30分ごろ、主催者側が発表。卒業セレモニーを行うはずだった大島優子(25)は涙にくれたが、志願してファンの前に立つなどし、代替公演の開催を誓った。

 午後4時28分、晴れ間ものぞき始めた空の下、ファン1000人が集う明治公園に大島が現れた。競技場周辺の道路には、「出待ち」をするファンが多数いた。事態を収拾させるため、大島が志願して公園に向かった。「優子!

 優子!」と大歓声を浴び、涙を流しながら言った。

 「楽しみにしてくださったのに…すみません。日を改めて、来ていただきたいと思いますので、詳細が決まったらまた連絡させていただきます」

 約4分間、壇上でのあいさつを終えると、ライブを思わせる声援と拍手が巻き起こった。

 その約3時間前、競技場の舞台裏には、号泣する大島の姿があった。関係者によると、同日昼、全メンバーを集合させたグループ総監督の高橋みなみ(22)が中止を伝えた瞬間、大島は泣き崩れたという。「ううう…」という慟哭(どうこく)は、数分間続いた。

 このコンサートに懸けていた。1月に卒業セレモニーの開催が決まってから、「国立はAKB48として最後のコンサート。悔いのないように出し切りたい」と意気込んでいた。前夜も、この日の朝も、雨の中でリハーサルをし、何度も声を出して確認し合った。前日29日はAKB48の単独公演。この日に限って国立のステージに立つはずだった姉妹グループへの思いもあった。常に後輩たちを思い、人望の厚い大島ならではの涙だった。

 あいさつを終えた後の大島は、ユーチューブにて、改めて高橋と代替公演の開催を約束し、ブログも更新した。中止を悔しがり、ファンに謝罪しながらも、「だけど、神様はまだAKBにいなさいって私に言っているのかもしれない」と記し、「このたまったパワーはあらためてやらせていただく卒業セレモニーで爆発させます」と宣言した。代替公演は6月2日、東京・秋葉原でのAKB48劇場での卒業公演よりも後になることは確実。運命のいたずらか、「変幻自在のエンターテイナー」大島のAKB48人生は、もうしばらく続きそうだ。【横山慧】