NHKの連続テレビ小説「おかえりモネ」がいよいよ29日に最終回を迎えます。清原果耶演じるヒロイン百音をはじめ、銀行員の父耕治役の内野聖陽、元小学校教師の母亜哉子役の鈴木京香、妹未知役の蒔田彩珠、祖父龍己役の藤竜也ら永浦家の人々と会えるのも残りわずかとなりました。

番組が終わると、「モネロス」の人も続出しそうですが、母親役の鈴木京香には東京・日比谷のシアタークリエに行けば、会うことができます。舞台「Home I'm Darling~愛しのマイホーム~」(11月7日まで)に主演しているのです。

「モネ効果」もあるのか、20日の初日以来、連日大入りの人気で、チケット完売の日が何日もあるほどです。「おかえりモネ」ではしっかり者の母親を好演していましたが、こちらでは現代のロンドンを舞台に1950年代のライフスタイルを愛する主婦ジュディを演じています。愛する夫(高橋克実)のために完璧な主婦になろうと懸命に努力するものの、家計は火の車。夫の仕事もうまくいかない上に、夫とその女性上司(江口のり子)との関係を疑うなど、家庭崩壊の危機に直面するというストーリーです。コメディーですから、笑いもたっぷりで、フレアスカートの美しいドレス姿に踊る場面もあり、鈴木も「『楽しかったね』と言っていただける舞台になるように、がんばるぞお」と意欲的です。

私は公演2日目の21日昼の部を観劇しましたが、照明のトラブルのため開演時間が30分遅れました。こういう時は普通、声を荒らげて怒り出す観客もいるものですが、皆さん静かに開演を待っていました。開演前に劇場支配人と演出の白井晃氏が舞台上からおわびのあいさつをしたのですが、白井氏がコンピューター化した照明プランが復旧しないため、通常とは異なる明るい状態で舞台を始めると説明した上で、「その分、俳優たちが頑張ると思います」と話すと、客席から拍手が起こりました。この優しい反応にちょっと驚きましたが、「モネ」ファンも多い観客は気持ちも温かいようです。東京公演後には、「モネ」の舞台となった宮城や岩手、山形でも上演の予定です。【林尚之】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「舞台雑話」)