今、楽しみにしている舞台があります。25日に幕を開けたミュージカル「ディア・エヴァン・ハンセン」です。

柿澤勇人と吉沢亮がダブルキャストで主演する作品で、初演は2016年のオフ・ブロードウェーでした。3週間ほどの短い公演でしたが、情報が独り歩きするSNSの怖さを描いた作品は評判を呼んで、半年後の同年12月にはブロードウェ-で上演されました。2017年のトニー賞では作品賞、楽曲賞、台本賞、主演男優賞など6部門で受賞しています。

私が見るのは、29日の吉沢主演の回ですが、吉沢は2度目のミュージカル出演です。初挑戦だった2020年の「プロデューサーズ」を見ていますが、ミュージカル界きっての人気俳優である井上芳雄とコンビを組む役どころで、吉沢の初挑戦とは思えない確かな歌唱力、そして軽快なダンスと、そのポテンシャルの高さに驚いたことを覚えています。

吉沢は、昨年公開された大ヒット映画「国宝」では女方の歌舞伎俳優役に挑みました。歌舞伎の所作などを学ぶ1年半に及ぶ稽古を経て、義太夫狂言の名作「曽根崎心中」でお初を演じ、歌舞伎舞踊の大曲「二人道成寺」や「鷺娘」を踊りました。ここでもポテンシャルの高さを実証していました。

今回も社会不安障害を抱える高校生という難しい役ですが、吉沢が6年ぶりのミュージカルで、ミュージカル俳優として、どんな成長ぶりを見せてくれるのか。ブロードウェーで観劇して「素晴らしさに衝撃を受けた」という吉沢の挑戦に注目です。【林尚之】