日本各地の繁華街の最新動向をフィールドワーク的に探る「繁華街パトロール」をライフワークの1つとしているが、まあ、いろんな人に出くわす。

先日、都内の某大型繁華街を歩行中、スーツ姿の20代と思われる男性から突然「すいません!」と声を掛けられた。長年、路上その他における新興宗教系の勧誘や詐欺的な接触には「自分がその勧誘に最終的に引っかかるのかどうか。引っかかったら負け」というある種の実戦的“脳トレ”として積極的に応じることにしているが、今回もその手の人かと思い、久々の脳トレ実現にうれしさを隠しきれなくなり、笑顔を浮かべて「はい、どうしましたか!」と応じてしまった。

するとその男性、「実は新人研修中でして。いろいろな人と名刺交換をして、人脈を増やしているのです。よろしければボクと、名刺交換していただけませんでしょうか?」ときた。

何度やんわり断っても「名刺を交換していただくだけなんですよ。そこをなんとかなりませんか。お願いします!」「名刺だけでもなんとか!」「なぜだめなのでしょうか?」と10分近く、強烈に食い下がってきた。真の目的はよく分からないが、聞くと、不動産関係の会社の新人らしい。

最終的に、筆者が「近年、人脈を増やしたいという、かつて多少はあった願望がほぼ消滅。名刺交換を主目的とした業界パーティーみたいなのに出席するのは苦痛で仕方なく、できるだけ欠席することを目指している。むしろ知り合いがどんどん減っていき孤独になりたい、とにかく私を1人にしてくれ…という“無人島移住願望”が肥大化し、西表島近くに浮かぶ外離(そとぱなり)島という無人島で90年代前半から20年以上全裸生活をしていた“最後の原始人”長崎真砂弓さん(※過去2回、現地密着取材。直近の07年12月に会った際は72歳だったから、現在は82歳前後か=数年前、外離島から退去させられ、現在は西表島北部の浜で生活しているとの一部報道あり)とその件について約10年ぶりにねっこり話したくて仕方がないことに関しては事実だが、長崎さん以外とは特に関係性を深めたくないのです」と本心を明かすと、同男性は「だめだこりゃ」という表情で、寂しそうに去っていった。

【文化社会部・Hデスク】


関係性を深めたい数少ない人物・長崎真砂弓氏(推定82)。そろそろ久しぶりに会いに行く必要を感じる
関係性を深めたい数少ない人物・長崎真砂弓氏(推定82)。そろそろ久しぶりに会いに行く必要を感じる