水原希子が演じる魔性の女・天海あかりの“狂わせテク”がすごい。ときには耳元で甘くささやき、あるときはさりげなくボディータッチ。全シーンで異なる衣装を着こなしているのも見どころだ。露出が多め、清楚(せいそ)、キュート。コロコロと変わる表情も魅惑的だ。

 渋谷直角の同名コミックを「モテキ」の大根仁監督が映画化した恋愛コメディー。同監督が水原のヒロイン起用を熱望し、一本釣りした。「力まないカッコいい大人」の歌手、奥田民生に憧れるおしゃれライフスタイル雑誌編集者のコーロキを妻夫木聡が演じる。仕事で出会ったあかりに一目ぼれするが、頑張れば頑張るほど、空回り。コミカルな演技には笑えるが、ここ一番ではもっと肩の力を抜いて…。何度もスクリーンに向かってつぶやいた。

 劇中では奥田民生の名曲「愛のために」「マシマロ」などが流れ、それぞれの楽曲が大きな役割を与えられている。ヒロインが男を狂わせるのか。それとも男が勝手に狂ってしまうのか。ゆる~くて、軽~い単なるラブコメではなく、見終わった後、男たちの悲哀を感じた。【松浦隆司】

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