佐藤健(32)と大友啓史監督(54)が手を携えて、製作を始めてから10年。12年の第1作と14年の続編2本の累計興収は125億円と一大人気シリーズとなった実写版「るろうに剣心」最終章にふさわしい、力強い作品が出来上がった。

佐藤は、大友監督と谷垣健治アクション監督が作り上げた、原作漫画を限界まで再現したアクション映像を見て出演を決意。実写化困難と言われた緋村剣心の、人間離れした剣技に挑み、屋根を走る場面も命綱なしなど危険と紙一重の場面を負傷覚悟で演じ続けた。「日本映画史の中で重要な、ハリウッドと戦える映画を作る」という志を、記者の前でも明確に口にした。

剣心と最強の敵・雪代縁の激闘は、邦画のアクションの1つの到達点を示したと言っても過言ではないだろう。佐藤には一切の妥協がなく、縁を演じた新田真剣佑(24)の高い身体能力と本番前も鍛錬を続けたという肉体が、さらに高めている。「日本が世界に誇れる映画を作った」という佐藤の言葉に偽りはない。

6月4日公開の「-The Beginning」と2作で製作費は公称50億円。大ヒットを狙うだろうし、その可能性は高いとみる。唯一の懸念はコロナ禍で東京、大阪、京都、神戸に発出される3度目の緊急事態宣言くらいだろう。【村上幸将】

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