わて、「72歳」でメジャーデビューしますねん-。大阪・道頓堀の名物看板人形「くいだおれ太郎」がヤマハ製のドラムを独占使用する「エンドースメント契約」を販売会社のヤマハミュージックジャパンと結びました。

ドラマー歴70年以上、来る日も来る日も、太鼓をたたき続けた太郎がついにメジャーデビューする日が来ました。今回の「エンドースメント契約」は無償提供されたヤマハ製品を使う内容で、ヤマハのWebサイトや製品カタログでヤマハの楽器を使用するアーティストの1人として、太郎が紹介されます。「72歳」にして、ついにです。

振り返ると、太郎の人生は順風満帆ではありませんでした。芝居小屋街・道頓堀に1949年、家族で楽しめる飲食店「くいだおれ」が開店。50年から、店先に派手な衣装を着た太郎が登場しました。リストラの危機、阪神タイガースが優勝を逃したときには、「わて泳げまへんねん」と大阪らしいユーモアある「吹き出し」を付け、道頓堀ダイブを回避したこともありました。

08年7月、「くいだおれ」の閉店とともにタレントへ転身するとともに「自分探しの旅」へ。09年に旅から帰り、新職場となる「中座くいだおれビル」に転居した上で「住み込み」の看板人形として、いまも道頓堀に立ち続けています。

無償提供される太鼓(ドラム)について「くいだおれ」の柿木央久専務(56)は「少なくとも20年以上、取り換えていないはず」と話します。

新しい“相棒”に太郎の気持ちを代弁し「わて、新しい太鼓をいただけてうれし、おま」。新しい太鼓はにぎやかな場所でもよく通る音色だといいます。

24日には太鼓の贈呈式があります。今年6月には「73歳」になる太郎。メジャーデビューに「長生きしておったら、ええこともおますな」-。【松浦隆司】(ニッカンスポーツ・コム/コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミヘキタヘ」)