今春まで月~金曜の朝、MBSラジオ「ありがとう浜村淳です」を50年間、しゃべり続けたレジェンドは、博覧強記にして自由奔放。
コロナによる中断をはさみ、4年ぶりに開催された「第2回 浜村淳の映画塾」に行ってきた。ラジオでは中学生の頃から親しんできた「浜村節」だが、ライブではまた別の楽しさにあふれていた。
「映画塾」という名のとおり、懐かしの名画について浜村さんが語るイベント。今回はチャップリンの「ライムライト」(1952年製作)に存分について語る、はずだった。オープニングで進行役から「まず30分間『ライムライト』について解説。15分の休憩をはさんで、浜村さんのトークショーと皆さんからの質問に答えます」と説明があった。
100人少々の観客を前に、浜村さんは冒頭からしゃべる、しゃべる。まさに立て板に水。「独裁者」「モダンタイムス」「街の灯」といったチャップリン映画の名前がぽんぽん飛び出す。聞いているだけで、それぞれの名場面が頭に浮かんできた。
が、肝心の「ライムライト」が出てこない。アッという間に予定の30分が終わり、急きょ進行役から「では、休憩をはさんで『ライムライト』の話を。そのあと質疑応答とさせてください」と修正が告げられた。
会場は浜村ファンばかりなので、誰からも不満の声は出ない。ひたすらノンストップの独演会を楽しんでいた。
「では、休憩に入ります」とアナウンスされたが、そこでまたも予定外の行動に出た浜村さん。舞台に残ったまま「このまま話しましょう。なにか質問があればどうぞ」と呼びかけた。客席から次々と手が上がり、質問が相次ぐ。誰もが浜村さんとの対話を楽しんでいた。
結局、最後までレジェンドは舞台から下りなかった。アラン・ドロンから2代目渋谷天外、北川景子までこれまで関わった芸能人のエピソードを交え、予定の90分が経過。「ライムライト」は次回に持ち越しか、と誰もが思ったところ、最後の最後、本題に入った。
話しだしたら早い。3分間で一気に「ライムライト」を語った。もちろん資料などを見ながらではなく、ストーリー、登場人物などすべてが頭の中に刻み込まれている。
ファンからは「その記憶力、どうやって鍛えているんですか?」と問う声があがった。それに対する答えがふるっていた。
「コツは知っていることだけを話すんです。知らないことには触れません」
名人にしか言えない言葉だ。来年1月で90歳。土曜の「ありがとう浜村淳です」と日曜の「歌の宝石箱」(いずれもMBSラジオ)で今も声は聞けるが、ライブでの浜村節はまた格別。ぜいたくな時間でしかなかった。映画塾の「第3回」は日時未定ながら、ブルース・リー主演「燃えよドラゴン」が有力。これも見逃せない。【三宅敏】(ニッカンスポーツ・コム/コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミヘキタヘ」)




