来年スタートのNHK大河ドラマ「麒麟がくる」(主演長谷川博己)の濃姫役の代役に、女優川口春奈さん(24)が決まりました。違法薬物で逮捕、降板となった沢尻エリカ容疑者(33)にも期待していましたが、個人的には川口さんの方が好み。「気高さと強さ」(NHK)という濃姫のパブリックイメージにも合い、勢いのあるいいキャスティングだなあと、スタートがさらに待ち遠しくなりました。

川口さんのキャリアを振り返ると、彼女自身も濃姫のようなかっこよさを持つ人だと感じるのです。

そう思ったのは、主演ドラマ「夫のカノジョ」(13年10月期、TBS)が4%台の低視聴率でスタートした時の対応でした。ゴールデン初主演でショックだったと思いますが、自身の主演映画の舞台あいさつでわざわざ触れ、「いい作品を作っていると心から思っている」だけに「数字が怖いし、悔しい」と語りました。当時まだ18歳。取材陣が大勢来ていることを宣伝のチャンスととらえ、ステージから「見てね」と気丈にPRしました。

数字は主演1人のせいではないものの、監督や脚本家より高いギャラをもらって作品の顔を引き受ける以上、興行の期待を一身に背負うのが主演の重みというもの。「数字のことは聞くな」とか「数字は気にしていない」とかかっこ悪いことを言う人も多い中、「悔しい」と言えるまっすぐな姿勢にしびれ、一発でファンになりました。打ち切り発表後もせっせとブログを更新し、残りの放送分のあらすじや見どころをつづっていた頑張り屋でもあります。

今やコメディーもラブストーリーもこなす人気女優に成長。最近はバラエティーでもさばけたキャラクターで好感度を上げ、昨年大みそかの日本テレビ「ガキの使いやあらへんで!大晦日年越しSP」では、スケバンに扮(ふん)した“笑いの刺客”として登場。ダウンタウンら出演者をののしりまくって大いに笑わせ、18・5%の最高視聴率をさらっていったのも印象的です。状況を見て機転が利く感じも、濃姫っぽいと思うのです。

何にでも全力投球で向き合ってきた結果の初大河。急な代役で重圧は計り知れませんが、大きなチャンスをしっかりつかめる人だと思うので、のびのびと川口さんの濃姫像を立ち上げてほしいです。

【梅田恵子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能記者コラム「梅ちゃんねる」)