日本テレビ系ドラマ「最高の教師」(土曜10時)がきょう23日、最終回を迎えます。2週目の人生で“あの日”と向き合うことになった教師(松岡茉優)と生徒(芦田愛菜)の教室革命。ド直球から危険球まで、この作品ならではのせりふのパワーを毎週わくわくと聞きました。個人的に刺さったせりふを振り返り、最終話を待ちたいと思います。

◆「鵜久森さん、私と一緒に戦ってくれませんか。そして、この教室を変えるんです」

ホームルームでいじめを告白した鵜久森(芦田)の思いを受け、クラス全員に宣戦布告。「何でもやります」はお飾りではなく、盗聴盗撮、脅迫、家庭への鬼介入など文字通り「何でもする」ので、この人の次の一手にがぜん興味が沸いた。1話は芦田愛菜の魂の名演技。

◆「言いたいことはきちんと言えましたか。大人はちゃんと期待に応えてくれましたか」

兄弟を養うためのバイト料を母親に奪われ続け、学業どころではない男子の回。「一緒に卒業させてほしい」という親友の説得で母親が涙し、学校に通うことを認めてくれる。そんな美談で片付けず、もう一押し、生徒の本音をえぐりに行く先生が本気。なぜ母親が許す側なのかという視点は、作品の方向性を示すシーンでもあったと思う。

◆「どうかお願いします。僕たちのことをちゃんとハブってください」

教室を牛耳るいじめ集団に部室を乗っ取られている理系男子2人組のせりふ。「次のターゲットはお前」という脅しに「ちゃんとハブってください」「相手も会話もせず、関わらないでください。お願いします」の土下座は目からうろこ。やりたいことと、それをともにする仲間が1人いれば、振り回されるのは時間のムダ。「彼らに嫌われるのはそんなに嫌なことなんですか」という九条先生のせりふはおっしゃる通り。

◆「なんでそんな、おそろいでいることばかり求めるの?」

居場所がほしくて、グループや彼氏に依存する女子に、幼なじみ男子が言うせりふ。「誰かに安住の地を求めても、嫌われたら終わり。誰かに取られたら終わり。なくたって良くない? 立ってるだけの自分を誇れよ」。こういう人が1人いればすてきな青春だし、しっかりフラれた男子も青春だった。

◆「私が提案したいのはひとつです。今ここにいるみんなで、一度、調子に乗ってみませんか」

夢を持っていたり、人とは違う道を歩むと「調子に乗っている」と言われる風潮に、先生が真っ向勝負。文化祭の準備が破壊された中、うつむく姿で犯人を喜ばせないよう、みんなで調子に乗って成功させるの巻。詩羽の歌唱シーンは感動的で、この回だけストレートな学園青春ドラマみたいなのも染みた。

◆「生徒がすべきは考えることまで。責任を背負うのは、われわれ大人です」

鵜久森さんの死と向き合うことを決めた教頭(荒川良々)のせりふ。とにかく7話は荒川良々の神回。保身とは正反対のやり方で学校と生徒を守るアプローチは、結局これが近道なのだという納得感があった。「責任があるのは生徒でも教員でもない。私です。私1人です」「本件と本気で向き合う時間をつくるためなら、私は何でもするということです」。ドラマくらい、こんなかっこいい教頭がいてもいい。

【番外】「30代過ぎての自意識過剰は懲役3年になります」

「心配かけた」とわびる九条先生に、親友の夏穂がツッコミ。この役を演じるラランド・サーヤがいい味を出していて、こういう気の利いたことが言える男前な友達最高。「英語の例文って、なんでこんなにすてきなんだろうね。『これはカブトムシですか』『いいえ消しゴムです』。どんな文章? 直木賞とれるよこんな文」。せりふなのかアドリブなのか、毎回笑わせていただきました。

【梅田恵子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能記者コラム「梅ちゃんねる」)