30日に放送されたTBS系「世界ふしぎ発見」最終回のエンディングで、司会の草野仁さん(80)が述べた結びの言葉です。38年続いた偉大な番組の終了はさみしい限りですが、今後は特番という形で継続されるとのこと。「また」という、おなじみのせりふで幕を下ろすことができたのは何よりでした。

今でこそ、知的エンターテインメントといわれる番組はテレビの中でもポピュラーなジャンルですが、「ふしぎ発見」は、その元祖ともいえる存在だったと思います。

放送が始まった86年は、「楽しくなければテレビじゃない」(フジテレビ)のキャッチフレーズに代表されるお笑い番組全盛時代。「笑っていいとも」「オレたちひょうきん族」(フジ)、「天才・たけしの元気が出るテレビ」(日本テレビ)、「8時だヨ!全員集合」に替わる「加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ」(TBS)など、各局に勢いのあるお笑いバラエティーがたくさん編成されていました。

そんな中で、「歴史と遊ぶ」という教養系コンセプトで始まった「ふしぎ発見」がいかに攻めた企画だったか。日本経済がバブルに向かうイケイケの時代とあって、「なるほど!ザ・ワールド」(フジ系)、「世界まるごとHOWマッチ」(TBS系)など海外ロケをコンセプトにした人気番組はすでにありましたが、「歴史」というアカデミックなテーマをバラエティーにした功績は、やはり特別なものと感じます。

実際、スタート当初は視聴率の低迷という壁にも見舞われましたが、ミステリーハンターとともに世界の歴史、文化を発見できる唯一無二のエンタメ性が視聴者に確実に届いていった過程は痛快です。

視聴率が伸びないころは、正解率が低すぎる野々村真さん(当時22歳)の降板も検討されたそうです。ピンチを救ったのは草野さんでした。最終収録後、囲み取材に応じた草野さんは「クイズ番組というのは、優秀な方もいらっしゃれば、普通の人も、あまりできない人もいる。そういう構成がいちばん全体を反映しているのですから、降板させるのは反対ですと申し上げました」。現在の「多様性」にもつながる発想ですよね。次第に応援の投書がたくさん寄せられ、黒柳徹子さんと並ぶ名物解答者となりました。

思えば、「なるほど」や「HOWマッチ」が終了した90年代以降も番組は続き、コロナ禍で海外ロケができない20年~22年には、国内を題材にふしぎの世界を見せる形で番組を継続してきたのだからすごいことです。

偉業の背景には、この番組が日立グループの1社提供であったことも大きいですよね。バブル崩壊後、広告効果が高い半面、費用がかさむ1社提供番組が次々と姿を消した中、「ふしぎ発見」はかなりレアな存在でした。出演者、制作のテレビマンユニオン、番組の意義を共有するスポンサーという3者の情熱が成し遂げた38年なのだと、その重みを実感するばかりです。

土曜のゴールデンタイムに、38年も続いたバラエティー番組はほかにありません。その底力を、今後も特番という形でどんどん発揮してほしいです。【梅田恵子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能記者コラム「梅ちゃんねる」)