長渕剛(58)が、8月22日夜から静岡県富士宮市の富士山麓で開催する「10万人オールナイト・ライヴ2015 in 富士山麓」。この一大イベントに向け、さまざまな角度、証言から連載する。

 俳優藤原竜也(33)は幼稚園の頃から長渕剛の歌を口ずさんでいたという。自他共に認める筋金入りのファンである。

 「おぼろげなんですけど、『ろくなもんじゃねえ』を歌っていた記憶があります。ちゃんと聞くようになったのは兄が『家族』(アルバム=96年)を買ってきてからですね」

 初対面は15年前、東京公演の楽屋だった。

 「客席の一番後ろでそっと聞いて、そっと帰りたいほうなんですけど、長渕さんは優しいから楽屋に呼んでくれる。行っちゃうと、疲れているのは分かっているのに写真を一緒に撮ってもらったり…」

 人気俳優も長渕の前に出るとメロメロである。その魅力は、長渕が体現する人生応援歌だという。

 「挫折しかけたときに長渕さんの歌に何度救われたことか。誰に何といわれようと、僕は長渕さんの歌とともに生きてきました。今までずっと」と言い切る。

 今回のオールナイトライブへの期待は大きい。

 「ここまで攻撃的なことをやるのかって思いますけど、長渕さんは僕らより上のレベルでアンテナ張って、ものを見ている人ですから。ものの見え方が違うんですね。今、僕らが何かを期待するというよりも、ふもとっぱらには何かが生まれるはずなんです。桜島ライブ(04年)では朝日が昇る瞬間にノドをからしながら歌ったあの姿が確実に残っていますから。富士山を背景にしたら、そこには何が起こるのか…。それを見てみたいですね」

 6年前、長渕の指名で、30周年記念DVDでナレーターを務めたときは、大作映画でもしないノドの事前ドクターチェックまで行った。「そのときいただいたギターは家宝として家に飾ってあります」。

 恥ずかしい思い出もある。「その日はレディース・ナイトだったんですけど、舞台に上げていただいて、『お前、何歌えるんだ?』って聞かれて、つい『夏祭り』って言っちゃったんです。あれ、キー高いですから。かけ声のタイミングも間違えて。3000人の女性の前で。最大の失態です」。二枚目俳優も長渕の前に出ると、あがりまくってしまうようだ。

 「(東日本)大震災以降の長渕さんはどんどん大きいものを背負うようになっている。それはすごいことだと思う。僕はそれだけではなくて、家族とか町を歌う長渕さん、長髪だった長渕さんも好きなんですけどね」。藤原の長渕愛は止まらない。【特別取材班】

 ◆藤原竜也(ふじわら・たつや)1982年(昭57)5月15日、埼玉県生まれ。97年、蜷川幸雄氏演出の「身毒丸」主役オーディションでグランプリ。「15歳の天才新人」と注目される。05年、米ニューヨークで「弱法師」に出演。映画では06年「デスノート」、13年「藁の楯」などの作品がある。ラジオなどを通じて長渕ファンを公言している。