18日付のインタビュー紙面「日曜日のヒーロー」に、俳優で歌手の杉良太郎(72)が登場しました。

 52年の芸能生活と、それよりも長い57年の福祉活動を振り返りながら、現在、そして将来への本人の思いなどを語ってもらい、記事にしました。

 紙面でも触れていますが、杉は「芸の常識は世間の非常識」ということを熱弁しています。常識におさまらないことだから人の感動を呼ぶ。興味を引き、好奇心を刺激するんだというような趣旨です。

 杉自身も、かつて「世間の非常識」な行動をしています。一例を紹介すると、ドラマの撮影中、実際の刃物で腕を刺されて肉が皮膚から飛び出しました。それでも、NGを出すのが嫌でカメラを回し続けました。「カット」がかかった後で刺した男性は気が動転し、激しく泣きじゃくったそうです。杉は彼の頭をたたいて「バカ、泣くんじゃない」。それだけを言い、刺したことの恨み節などは一切言っていません。刺した男性は、杉のことを今でも「オヤジ」と呼んで慕っています。

 杉は17代目中村勘三郎を尊敬していました。亡くなった際、人間国宝の精神を自分のものにするためか、葬式で遺灰を吸い込んでいます。周囲には驚いた人もいましたが、杉にとっては当たり前の行動でした。

 芸能界に限りませんが、第一線で長く活躍をしている人は、興味深い、多くのエピソードを持っています。

 杉の話を聞いていて、そのことを再認識しました。