司会を務めるコメディアンのジミー・キンメル(49)は、授賞式の冒頭で、イスラム圏7カ国からの入国を禁止する大統領令を発したり、移民政策の厳格化を主張している、ドナルド・トランプ大統領(70)の政策に揺れる米国の現状を「分断している」と断言。その上で、時に皮肉を交えつつも、米国民全体に結束を訴える、熱いメッセージを送った。

 (全世界で)米国が嫌いな国ばかりになってきているかも知れませんね。この国は今、分断されている。ここには「ブレイブハート」が1人しかいないが、みんなを団結させることなんて出来ない。僕が国を団結することは出来ないが、異なる人に意見を働きかけ、リベラル派、保守派ではなく、米国人として話をすれば米国を偉大に出来る。

 この日、会場には「ハクソー・リッジ」で監督賞にノミネートされているメル・ギブソン(61)がいた。ギブソンがスコットランドの独立のために戦った実在の人物を演じ、95年の第68回で作品賞を受賞した「ブレイブハート」にちなみ、1人の力ではなく、国民の結束で米国を1つにしようと訴えた。

 その上で、こう訴えた。

 私はトランプ大統領に、ありがとうと言いたい。昨年の授賞式は人種差別的だったが、今年はそうならなかった。我々はアウトサイダーを歓迎している。出身じゃ差別しない。年齢と体重で人を見る。

 アカデミー賞は昨年、一昨年と2年連続で俳優部門にノミネートされた俳優全員が白人だったことから「白すぎるオスカー」とやゆされる騒動に発展した。今年は、黒人6人、インド系1人がノミネートされた上、トランプ大統領の一連の政策により、人種を含めたマイノリティーの問題にスポットが当たっている。そのことを皮肉ったとみられる。

 さらに「(受賞者には)大統領から、朝5時のお通じの時間に、太い文字でツイートがあるでしょう」「タイムズという名前のメディアは、すぐに退場してください!! ここはまだ希望を持っております」などと声を大にして発言。何かあったらツイッターで発言、批判したり、ニューヨーク・タイムズ、ロサンゼルス・タイムズなど、一部のメディアを締め出した、トランプ大統領の姿勢を皮肉り、いじるトークで会場を沸かせた。