破綻した旅行会社「てるみくらぶ」のことがきっかけで、「掲載責任」について考えています。

 先日、一般紙に掲載された「てるみくらぶ」の全面広告を見た家族が、「これはお得だ」と旅行を申し込もうとしました。すっかりその気になって電話をしてみると、対応がすごく不親切。さらに「全額を早く振り込んで」ということばかりを強調するので不信感を感じたそうです。「どう思う?」と私に意見を求めてきました。

 通常の手続きだと、旅行会社に内金をいくらか入れて「予約」を済ませ、残金は後から入金します。それをなぜか「すぐに」と催促し、しかも支払はクレジットカードではなく「現金で振り込め」というのです。これは何か特別な事情があるのでは…と勘ぐりました。とはいえ、大手新聞社の広告です。掲載するにあたり、その内容や業者について社内審査をして、基準を満たした上での掲載でしょう。安心しても良いのではないか。そう思いながらも、何となく危険なにおいがしたので、申し込みはしないように助言しました。

 以前に何度か、知人から「日刊スポーツに広告の掲載をしたい」と相談を受け、広告局の担当者につないだことがあります。担当者は、掲載できるかどうか、社内基準に照らし合わせます。掲載されたケースもあれば、そうでなかった例もありました。スポンサーの意向でも、例えば健康食品などについて言えば、「健康にプラスです」という表現はOKでも、「がんに効果があります」という表現はNGなのです。

 「てるみくらぶ」は、3年前から資金繰りが苦しかったことが明らかになっています。被害者は最大で9万人に及ぶ見込みです。家族が被害者の1人になりそうだったこともあり、ひとごとではない関心を持って注目しています。