輝きを失った夫と向き合えない妻を演じる黒木は、ドラマでは舘と3回共演したが、4回目で映画初共演、初の夫婦を演じる。黒木は「最高にうれしいです。20代からご一緒しているので安心感は半端ないです。懐に飛び込み撮影に臨みたい」とコメントした。

 キャスティングについて、中田監督は「終わってないぞ、とあがく人を描いているので、パリッとした2人に出てほしかった。枯れた夫婦の愛情物語ではなく、笑えて、泣けて、ドタバタもあるロマンチックコメディー」と説明、4月に数シーンを盛岡で撮影した時を振り返り「かなりいい感じ」と手応えを見せた。

 ホラー界を代表する中田監督だが、実はメロドラマ、コメディー好き。原作にほれ込み、初めて自分で企画を製作会社に持ち込んだ。7月1日に本格的にクランクイン、8月に撮了。【小林千穂】

 ◆「終わった人」 大手銀行の出世コースから子会社に転籍し、定年を迎えた田代壮介(舘ひろし)。美容師の妻千草(黒木瞳)は、毎日後ろ向きなことしか言わない壮介と距離を置き始める。壮介はスポーツジムに通い始めるが満たされず、再就職先を探すことに-。内館氏原作の小説は15年9月に発売され、18刷15万部を売り上げている。