向井理(35)と尾野真千子(35)が19日、都内で映画「いつまた、君と~何日君再来~」のヒット祈願を行い、同映画で共演し、肺腺がんのため13日に亡くなった女優野際陽子さん(享年81)について語った。

 同映画は戦前から戦後にかけての激動の時代を生きた向井の祖母・芦村朋子の手記を元にした書籍「何日君再来」が原作。主演の尾野が朋子役で、夫の吾郎役に向井、現代の朋子役として野際さんが出演していた。撮影は昨年2月に行われ、全員での台本読みの際に野際さんに会ったという尾野は「本読みの時にごあいさつをさせていただいて、『同じ(撮影の)時があればいいわよね』って話してました。野際さんがすごく私を気にして撮影していたと聞いて、いまさらですけど、あの時もっと話していた方がよかったかなと思いますけど、あれはあれでよかったのかなとも思います」と話した。

 向井は「(祖母の)朋子がどういった人なのか、質問状が(野際さんから)きまして、方言はどうだったのかとか、『(祖母の)写真をお借りしたい』と言われたりとか、意欲的に似せていこうという姿勢を見せていただいていた。役のことを1番に考えていた方で、明るいところしか知らないので、信じられないです」とその人柄を語った。

 野際さんの作品へのコメントも司会者から紹介され「尾野真千子さんが演じていた若い頃の朋子を壊さないように演じていました。2度とあのような時代が来ないことを願っています」などと読み上げられた。向井は「反戦映画ではないですけど、全ての人に当てはまる内容だと思う。1人でも多くの方に見てもらうことが野際さんへの恩返しにもなると思います」と話した。

 また、2人と共に出席した深川栄洋監督(40)は野際さんについて「撮影前に手術をなさって、そこから復帰すると聞いていたのですが、すごく明るくて緊張をほぐそうとする気遣いの方だった」と明かした。昨年11月の撮り直しにも野際さんが参加していたといい「撮り直しの時も1度具合が悪くなったあとだった。野際さんが、『もう撮り直しはないわよね?』って言っていたんですよ。それが彼女が感じていたものなのか、そういう仕事への姿勢なのかはわからないですけど、その言葉がすごく頭に残っています」と振り返った。

 同映画は24日から全国で公開される。