浅野忠信(43)田中麗奈(37)が2日、都内で映画「幼な子われらに生まれ」(三島有紀子監督、26日公開)の完成披露舞台あいさつに出席した。

 同作は作家重松清氏が96年に発表した同名小説の映画化。浅野は一見良き父親を装いながらも、前妻との間の子との関係がうまくいかず、もんもんとした日々を過ごすバツイチ再婚のサラリーマン田中信役。田中は男性に寄り添いながら生きる専業主婦の妻、奈苗を演じている。

 浅野は「台本をいただてすぐにやりたいと思った」といい、「女性監督と仕事をするのは初めてだったけど、徹底的にぶつかって妥協なく作りました」と熱く話した。三島監督は「こんなにむき出しで向かってくる役者さんは初めてだった」と感想を述べた。「でもそれがいい方向に向かっていった。ぶつかり合いの化学反応を記録していきました」と振り返った。

 田中は「全ての世界が家庭という今までやったことがない役だったので難しさはありました。浅野さん演じる信がうざったいだろうなと思いながらもプレッシャーをかけていきました」。三島監督は「新しい田中麗奈が見られると思います」と太鼓判を押した。

 舞台あいさつには、宮藤官九郎(47)南沙良(15)鎌田らい樹(14)新井美羽(10)も出席。宮藤は田中の前夫を演じたが「たぶん映画を見たら僕の好感度は下がると思います。生きている人の役は久しぶりでしたが、生きているクズなので、僕の事を嫌いにならないでください」と言って会場を盛り上げた。

 南はこれがデビュー作。「何をどうしたらいいのかも分かりませんでしたが、浅野さんが優しく声をかけてくれたのでリラックスしてできました」と話した。

 三島監督は「一瞬でもお芝居に感じることがないことを意識した。セリフや動きが変わってもいいので、その時感じたことを表現してもらってワンテークで撮ることを目指した映画です。それを引っ張ってくれたのが浅野さんでした」。浅野は「40代になった今の自分だからこその作品です」といい、田中は「この映画を必要としている人に届けばいいなと思います」と話した。