俳優イッセー尾形(65)が22日に東京・日生劇場で幕を開ける東京二期会オペラ「こうもり」(26日まで)でオペラに初挑戦する。

 「こうもり」はウィンナ・オペレッタの最高峰とされる作品で、尾形が演じる看守フロッシュは、出演者中で唯一歌わない役。演技だけの出演だが、本場ウィーンでは名優が演じている重要な役どころだ。

 尾形は「オペラ出演の話が来た時は、人違いかと思った。それまでオペラは敷居が高いものと思って、縁がなかった」と話す。しかし、歌のない看守役と知って、「断る理由がない」と快諾した。しかし、初めてのオペラ出演とあって、フロッシュの人形を自作し、人形を相手に事前に稽古したという。

 21日に公開稽古が行われたが、尾形は「楽しかった。僕が出る前に歌で盛り上がって、気流に上っていくように、自然と僕のモチベーションも上がり、思いも寄らない動きや声が出てしまった。制御不能になった」という。演出のアンドレアス・ホモキも「彼の卓越した笑いの演技が、オペラ歌手たちにも刺激を与えて、よい相乗効果になっている」と称賛する。

 尾形は普段の舞台は一人芝居が多いが、「オペラは人が多いよね。ソリスト、アンサンブル、楽団、裏方の人と、大勢で作っている。今は緊張よりも、本番も楽しみたいという気持ちが強い」と話した。