1万人が合唱する年末恒例の「1万人の第九」コンサートが3日、大阪城ホールで行われ、俳優小栗旬(34)が朗読ゲストを“熱演”した。公演は、舞台監督の父哲家氏が演出を務めている「第九」コンサート。小栗は、父と“初共演”になった。

 アリーナ後方から父がステージを見守る中、小栗が中央へ姿を見せた。

 迫真の表情、ゆがむ顔。まるでミュージカルのヤマ場のようだった。小栗は、シラーの詩「歓喜に寄せて」を翻訳した「よろこびのうた」を、情感たっぷりに読み上げた。

 83年に始まり、今年35回目となる同コンサート。総監督・指揮を務める佐渡裕氏(56)が13年から「あらためて第九の意味を知ってもらおう」と、演奏・合唱の前に、朗読を始め、今年の小栗は5人目の朗読ゲストだった。

 小栗は公演後、「素晴らしかったです。とてつもないエネルギーでした。みなさんがここに向かって(練習を重ねて)きた成果が出てました。しびれました」と、“よろこび”のコメント。朗読には「少しでも詩の意味を届けていられたら幸いです」と語った。

 父が演出の舞台に立った感想には「あまりからんでないので、特別ありません」と言いながら、父の仕事を「とても偉大な仕事をしているんだなとあらためて思いました」と思いやった。

 そんな小栗の“熱演”に、佐渡氏は「小栗旬君はすごい。こんなにも(朗読後に)皆で(合唱へ)向かえた朗読は初めて」と絶賛した。前日の稽古では、ドイツ語の意味を含め、細かい要望を複数、出していたそうだが「見事に僕が言っていたことは、彼の体に入っていた」と感心するばかりだった。

 佐渡氏は、小栗の父哲家氏とは「学生時代から36~37年のつきあい」と言い、哲家氏から「息子が役者を目指している」と、昔から聞いていたそうだ。

 「今日はお父さん、普通に装ってはいたけど、そりゃ、うれしかったでしょうね」と、哲家氏の心中を代弁していた。

 またこの日、第1部ではヴァイオリニストの服部百音、ロックバンド「くるり」が出演した。

 公演の模様は今月23日午後2時からTBS、MBSなど、TBS系7局で放送される。