天草四郎を主人公にした宝塚歌劇の花組「MESSIAH(メサイア)-異聞・天草四郎-」新人公演が31日、兵庫・宝塚大劇場で行われ、5年目伸び盛りの期待のスター、聖乃(せいの)あすかが、2度目のセンターに立った。

 終演後、観客を前にしたあいさつでも涙し、幕が降りた後の取材でも、感極まった様子だった。14年入団の100期生。今年1月、本公演で花組トップ明日海(あすみ)りおが、漫画から抜け出たようと好評を得た「ポーの一族」新人公演で初主演しており、今回が2作連続の主演だった。

 「2度目なので、前回以上の責任と、今回は自分が引っ張らなきゃと思い…。下級生にいたるまでが目をキラキラさせながらついてきてくれる姿が美しく、四郎として精いっぱい生きる姿を見せなきゃと思い…」

 重圧から解き放たれ、照れ笑いしながら振り返った。前回は「お芝居の途中、場面ごとに反省してしまっていた」そうで、今回は「役に集中してやりきってしまおうと。一瞬、一瞬を四郎として生きようと心がけました」とも話した。

 本公演で主演するトップ明日海からは「四郎という役は、思っている以上にエネルギーを強く持っていなきゃいけないよ」と言われたといい、そのエネルギーを保とうと、声の使い方を研究した。

 声を張り上げる場面が多い役柄上、本番中は「声の出し方を(場面ごとに)分けて」集中力を高め「前回以上に、みなさま(ファン、仲間)の存在がありがたかった」と感謝した。

 相手役は、3年目で初ヒロインの舞空瞳。芝居、ダンス、歌ともに長じたトップ娘役仙名彩世(せんな・あやせ)を手本に稽古を重ねてきた。

 舞空は「あこがれ、尊敬する仙名さんの役に身が引き締まる思いで、お稽古を見て、人との接し方、普段のお姿まで(勉強になった)」と、先輩の偉大さを痛感。「心が優しく清らかで、本当にマリア様のような仙名さんのもと、お稽古のひとつひとつがかけがえのない物になりました」と話していた。

 東京宝塚劇場での新人公演は9月20日。