鹿児島・奄美大島生まれで奄美民謡「シマ唄」をルーツに持つ歌手城南海(29=きずき・みなみ)が大阪市内で日刊スポーツの取材に応え、5月8日にリリースした自身初のベストアルバム「ウタツムギ」をPRした。タイトルは、09年発売のデビュー曲『アイツムギ』から歌を紡いできたこの10年への思いを込めたという。「オリジナル曲ベスト」と「カバー曲ベスト」のCD2枚組で、ファンからのリクエストをもとに選曲した

「オリジナル曲ベスト」は、『アイツムギ』の10周年バージョンから始まる。新録した本曲にはイントロがなく、城のボーカルから始まる。「思い切ってアレンジを変えました。デビュー以来、さまざまな出会いが私の表現の重み、深み、温かさを変えたと思うので、10年たった今だから歌える私の声を聴いて欲しかった」。シマ唄特有の「グイン」という歌唱法を取り入れた歌い方が特徴的だが、新録版では息づかいまでも聞こえる飾らない“むき出しのボーカル”に鳥肌が立つ。

また昨年NHK大河ドラマ「西郷どん」の劇中、地元奄美大島のシーンで、城が担当した『愛加那』が流れた。大河紀行『西郷どん紀行~奄美大島・沖永良部島編~』と合わせて大きな反響があったという。「多くの人に知ってもらえる機会となった」と振り返る最新シングルも収録。ほかにも、NHK「みんなのうた」でオンエアされ、ひばり合唱団と歌った『夢待列車』や、東海テレビ制作ドラマ「エゴイスト~egoist~」の主題歌に使われ、故・川島なおみさんとの出会いなどがあった『誰カノタメニ』など、思い出深い数珠の16曲が並ぶ。

また「カバー曲ベスト」では、歌番組「THE カラオケ★バトル」(テレビ東京)で高得点を連発した抜群の歌唱力で、『瞳をとじて』(平井堅)や『糸』(中島みゆき)などえりすぐりの15曲を収録。特に番組初登場時に歌った「花~すべての人の心に花を」(喜納昌吉&チャンプルーズ)を新たに加えた。初回盤のみ1月に地元奄美で開催した「10周年記念コンサート」の映像を収録したDVDとスペシャルミニフォトブックの特典が封入される。

そんな城は「ウラアシビ」と題した10周年記念ツアーを行う。毎年「ウタアシビ」(=唄遊びの意味)というタイトルでツアーを行うが、その「裏バージョン」だという。「テーマは裏切りです。ライブで初めて歌う洋楽の曲ばかり。楽しみにしてください」と笑顔。ベスト盤でも聴くことのできない海外の名曲を「大人の雰囲気で歌います」。東京・横浜・名古屋のほか、大阪は7月19日にビルボードライブ大阪で2回公演。詳細は公式サイト(http://www.kizukiminami.com/)を参照。