宝塚歌劇雪組「壬生義士伝」新人公演が18日、兵庫・宝塚大劇場で行われ、4年目のホープ彩海(あやみ)せらが初主演した。

「あーっ! っていう感じでした」。娘役では次期星組トップ娘役に決まった舞空瞳らがいる102期生だが、男役では主演一番乗り。初のセンターへの感慨をこう表現した。

銀橋でのソロも見事に歌い上げ「ほんっとに明るくて、集中できる場所でした。いつも立っている舞台(宝塚大劇場)なのに、初めての場所みたいに感じました」。終演後には安堵(あんど)の笑みをこぼした。

鹿児島出身の彩海は、アイドルや女優を多数輩出している地元のスクールに小学1年から通い、素養を磨いてきた。本公演では、トップ望海風斗(のぞみ・ふうと)が、愛と義を貫いた腕利きの盛岡脱藩、新選組隊士・吉村貫一郎を好演。大先輩からは「吉村は分け隔てなく皆に愛を注げる人。大きな海のような愛の気持ちを持って舞台に立てば大丈夫」とアドバイスされ、開演を待った。

セリフは盛岡の南部弁。「耳、音階で覚える」と言われる方言は、歌の達者な人間は上達が早いと言われる。彩海もうまく方言を操り「演じていても(盛岡の)景色が、盛岡の風景、きれいな空気を感じることができました」と話した。

入団7年目までの若手のみで上演される新人公演としては、難しい題材だったが、客席からは泣き声がもれた。これを知ると彩海は「今、泣き声もあったとお聞きして、すごく安心しました」と言い、笑った。

男役としてはまだまだ駆け出し。歌、芝居、ダンスすべてにもっと情感をこめられるよう精進したいと誓う。「さらにさらに、男役としての階段を上がれるように頑張りたいです」と、彩海は声を弾ませた。

相手役ヒロインは、彩海の3年先輩で7年目、新人「長の期」になる彩(いろどり)みちるが務めた。新人公演のヒロインは3回目。彩は「自分のことより、皆をまとめなきゃと思ってきた。皆や、彩海が頑張っている姿を見て、もう皆の母の気分で、彩海を見守りながら(舞台に)いた気がします」と振り返った。

本公演ヒロインのトップ娘役、真彩希帆(まあや・きほ)からこの日朝、手紙をもらったといい、そこには「みちるは自信を持って舞台に立てば、芝居心もあるし、きっと大丈夫」と書かれてあった。真彩の言葉を胸に舞台に立ち「少しは成長した姿を見せられたかな」とほほ笑んでいた。

東京宝塚劇場での公演は8月8日。