東京・歌舞伎座「七月大歌舞伎」が4日、初日を迎え、昼の部「外郎売」で、市川海老蔵(41)と長男堀越勸玄君(6)が共演、勸玄君は貴甘坊の役で、約4分にわたる早口せりふを、つっかえることなくすらすらと言ってみせた。

観客からは大きな拍手が起こり、「成田屋!」の掛け声が飛んだ。

花道から海老蔵と登場し、見えをした勸玄君。名前を問われ、「私の名前は堀越勸玄にございます」と大きな声であいさつ。

劇中口上で海老蔵は「外郎売」について「市川家の家の芸でございます。せがれ堀越勸玄が早口を相務めさせていただきます。なにとぞ、おうようのご見物のほど、ひとえにお願い申し上げ奉ります」と述べると、勸玄君も続いて「お願い申し上げまする」。

勸玄君が早口の言い立てをしている間は、せりふを1つも聞き漏らすまいというように、劇場が静まりかえった。隣の海老蔵も勸玄君を見守っていた。

せりふが終わると、万雷の拍手。その後も勸玄君は、りりしい見えをしたり、立ち回りも見せた。

終了後、海老蔵は公式ブログで、出番前の勸玄君の後ろ姿の写真をアップし「この人、すごいです。見てほしいです。もう涙とまらない」とつづった。

「外郎売」は、歌舞伎十八番の1つで、父である12代目市川團十郎さんが早口言葉を見どころにした。1985年(昭60)、海老蔵が市川新之助を名乗って初舞台を踏んだ時に貴甘坊をつとめ、父團十郎さんが外郎売実は曽我五郎を演じた。

公演は28日まで。