吉本興業が芸人養成所NSCの夏合宿に参加する研修生に「負傷、これに基づいた後遺症、あるいは死亡した場合、その原因を問わず吉本興業に対する責任の一切は免除されるものとする」との免責事項を組み込んだ誓約書の提出を求めていたことが31日、分かった。

吉本興業では「誤った内容が記載された誓約書を配布してしまった」として、正しい内容の誓約書への差し替えを進めている。

吉本興業は、9月9日から3日間、静岡県掛川市で「NSCお笑い夏合宿」を主催する。合宿費用は4万5000円で、参加申し込みの際に、同社が示す「規約及び注意事項」について、「私の保護者も含めて熟読、十分に理解したうえで参加する」と記された誓約書に署名して提出することになっている。

「規約及び注意事項」では合宿の費用、持参物、そして15項目の順守事項を列挙している。喫煙、飲酒の禁止、時間厳守などに加えて、「合宿中の負傷、これに基づいた後遺症、あるいは死亡した場合、その原因を問わず吉本興業に対する責任の一切は免除されるものとする」という免責事項が入っていた。傷害については「賠償請求、訴訟の提起などの支払い請求は行えないものとする」とあって規約を「遵守(じゅんしゅ)しない者は、強制送還や退学処分となる場合もある」となっている。

吉本興業の広報担当者は「その誓約書は13年まで使われていたもの。14年から16年までの3年間は、死亡についての免責などの条項がないものを配布していた。その後、担当者が変わって引き継ぎの際に、間違えて以前のものが引き継がれてしまい、17年から死亡についての免責などの条項が入ったものを配布してしまっていた。今回、研修生の保護者からの指摘を受けて間違いに気づいて回収、正規のものへの差し替えを進めています」と説明している。