70、80年代の映画界を席巻した角川春樹氏(77)が最後の監督作品と公言する映画「みをつくし料理帖」(来秋公開)にかつての角川映画の主演俳優が続々と出演することになり、30日までに発表された。

「犬神家の一族」(76年)の石坂浩二(78)、「スローなブギにしてくれ」(81年)の浅野温子(58)、「蒼き狼」(07年)の若村麻由美(52)で、そろって今作のヒロイン、松本穂香(22)を支える役どころ。東京・成城の東宝撮影所で、それぞれの思いを語った。

石坂は「半世紀くらいまえにご縁のあった角川監督からお話をいただき感激です。(料理人役の)松本さんは味の方はともかく、江戸時代の重い食器を使いこなし、動作はさまになっていて、鍛錬の後がうかがえますね」と笑顔を見せた。

4月に体調不良で舞台降板して以来の仕事となった浅野は「ご心配をおかけしました。もう大丈夫です。『みをつくし-』の原作にも感動したクチで、発行元を見たらハルキ文庫。懐かしく思っていたら、声を掛けていただきました。監督に怒られないように目を盗みながらちょこちょこ(アドリブを)やらかそうかとたくらんでいます」と笑わせた。

若村は「『蒼き狼』では、反町隆史さんが息子、松山ケンイチさんが私の孫役でした。角川映画で私の子どもを演じると、その後の活躍が約束されています(笑い)。今回の作品では松本さんの親代わりのおかみを演じるので、松本さんの将来は約束されたようなものです」と話した。

一方、今回が角川映画初出演となった藤井隆(47)は「10代の頃に夢中になった角川映画に出させていただくことは不思議な感じです。『出てから読むか、読んでからでるか』。感謝感激です」と、かつての角川映画の「見てから読むかー」の宣伝文句に掛けながら、緊張の面持ちだった。

ヒロインの松本は「皆さんに教わりながら、自由に楽しくやらせていただいています。料理のスジはあまり良くないかもしれませんが、所作は何とか身についたと思います」と、こちらは藤井とは対照的にリラックスした様子だった。

10年ぶりのメガホンとなった角川監督は「デジタル環境になったけど、違和感はない。松本くんはけなげでまっすぐな資質があります。彼女の代表作にしたい」と言う。